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朝日新聞編集委員(朝鮮半島、米朝・日米関係担当)

北朝鮮のスマホを入手した。

北朝鮮関係筋から入手したスマホは「平壌」と並ぶ北朝鮮の2大ブランドの「アリラン」。電源を入れると、北朝鮮ではおなじみの電子オルガン演奏による民謡「アリラン」の音色が流れる。待ち受け画面は、北朝鮮の政治スローガンでおなじみの「千里馬」をイメージしたとみられる画像だ。

北朝鮮でスマホは「タッチホン」と呼ばれ、2013年に登場した。このスマホは15年に出た改良型の「アリラン151」という。内部記憶量は32ギガバイト、厚さ7.65ミリ、重さは148グラムとなっている。

人口2500万人余りとされる北朝鮮だが、韓国の趙明均(チョミョンギュン)統一相(当時)が18年10月の国会答弁で明らかにしたところによれば、北朝鮮の携帯電話利用台数は580万台にも上る。実に普及率は2割を超える。

たかが2割かもしれないが、問題は携帯のお値段だ。一番安い旧式の携帯でも270ドル、私が入手したスマホ「アリラン」は620ドル。もう一つのスマホのブランド「平壌」に至っては740ドルもする。

北朝鮮で裕福な階層が暮らす平壌で、4人家族が1カ月暮らす平均的な生活費が100ドルと言われている。旧式の携帯が生活費2.7カ月分、スマホに至っては半年分以上の生活費と同じ価値がある。日本人からすれば、乗用車1台分にもなろうかという値段だ。

それでも彼らが携帯を欲しがるのは、生活の一部として根付いているからだ。知り合いの脱北者に聞くと、「どこそこの市場ではコメの値段がいくらだ」とか「今日は、どこそこの鉄道区間で取り締まりをやっている」といった生活情報を頻繁に交換していたという。

アプリからわかる彼らの生活

そして、当然だが、北朝鮮では数少ない娯楽を、携帯を通じて楽しむこともできる。

今回から3回に分けて、全部で38種類のアプリがあった北朝鮮スマホから垣間見える北朝鮮の人々の生活模様をお伝えしたいと思います。初回はスポーツ。

スマホには、スポーツの映像をダウンロードして楽しむアプリがあった。スポーツ映像は全部で177種類。なかでも一番人気だったのは、サッカー。実に48種類もの映像が準備されていた。メニューも「2013~2014年シーズンのスペイン1部リーグ・バルセロナ対レアルマドリード」、「2015年のサッカー欧州選手権の10大ゴールシーン」「2016年U17女子ワールドカップ決勝・北朝鮮対日本」など、国際色豊かな内容だ。

文=牧野愛博

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