ビジネス

2019.08.09 11:30

世界最大の精子バンク「クリオス」 100カ国提供までの成功の軌跡


最後に世界最大の精子バンク、クリオスを運営するスコウに、精子ビジネスにおける日本の課題について聞いてみた。すると言下に「法律の欠如」だと言う。

日本では、無精子症の夫婦が病院で精子提供を受けることが認められている。しかし、そうして子どもを持った場合の親子関係を規定する法律は日本には存在しない。また、匿名のドナーからの提供のみが認められているが、ドナー情報の開示を求める声もあがっている。そのため、ドナーとなる男性が少なく、闇ビジネスが横行しやすい。


世界最大の精子バンクを運営するオーレ・スコウ(写真=新國翔大)

「きちんとオープンな場でこのテーマを議論することで、国民に情報が共有され、不妊に悩む人々が最適な道を選べるようになる。それが出生率の向上にもつながる。デンマークがそれを証明している」とスコウは語った。

厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2018年の日本国内の出生数は91万8397人で過去最低を更新している。合計特殊出生率も3年連続で低下している。

もし、国として少子化に本気で取り組みたいとするなら、「産みたい」と思っている人の負担を少しでも減らすような法整備や環境を整えるのが急務ではないかと感じた。

文=井土亜梨沙

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