質素だけど豊かだ。北欧とロシアで見た「山小屋」で過ごす夏期休暇

ポーランドで見つけた郊外の菜園付きの小屋。クラクフ市街地からバスで20分の場所にあった。


日本で北欧ブームが起きてもう10年以上になると思うが、「北欧好き」という人によくよく話を聞いてみるとそれは、結局は雑貨やインテリアが好きという人が少なくない。僕は一般家庭のインテリア撮影も多いのだが、北欧風インテリアをどこかに取り入れている家庭は驚くほど多い。今まで何軒撮ったか分からない。これは個人的な感覚で恐縮だが、3軒に1軒は家のどこかが北欧風だと思う。

けれど、森を含めた北欧のライフスタイルまでは誰も見てはいない。北欧好きという人の9割以上(僕の感覚)は実際に北欧に行ったことがないし、北欧デザインに憧れても誰も森の小屋には憧れない。そして日本人の夏期休暇の多くが、今もお盆の数日程度だ。僕自身もその一人であり、今夏も帰省ラッシュやごった返す行楽地へ果敢に飛び込んでいく。

常に幸福度上位を占める北欧諸国。日本には日本の素晴らしい文化があるし、その全てを真似る必要はもちろんないが、北欧ブームが何年経っても、インテリアや暮らしまわりの雑貨止まりなのは、あまりに残念ではないだろうか。


ヨーロッパ的な気候とも言われる八ヶ岳南麓に置いてある小林のキャンピングトレーラー(夏は葉が茂って見えなくなるので春にドローン撮影)

連載:週末遊牧民~森と都市の狭間を旅しながら~
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文、写真=小林キユウ

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