ビジネス

2019.08.10

人気ブランドを確立させた元祖「インフルエンサー・マーケティング」

ダニ・リース アパレルメーカー「カナダグース」CEO

「家業を継ぎたいなんて夢にも思いませんでしたね」

高級アウトドアブランド「カナダグース」のダニ・リースCEO(45)はそう振り返る。セレブを中心に高い人気を誇る同社のダウンジャケットは現在、11の直営店とeコマースサイトで販売。昨年の売り上げは4億6000万ドルに達する。

カナダグースは1957年にリースの祖父が創業。L.L.Beanやエディー・バウアーの下請けとしてコートを製造する一方、独自のパーカなどを作って販売していた。

飛躍の時を迎えたのは約20年前。父から経営を継いだリースは、外回りの警官やナイトクラブの警備員にダウンの評判がいいことに気づいていた。そこで下請けをやめ、強気な価格設定でハイエンドを狙う一方、セレブに無償で提供する、いわゆる「インフルエンサー・マーケティング」を展開し、ブランドを独り立ちさせたのだ。

店舗数を増やす計画もあるが、リースは無理な成長に否定的だ。「店を畳む会社がたくさんあります。うちはそうはしたくないですね」


ダニ・リース◎高級アウトドアブランド「カナダグース」のCEO。1957年に祖父がコート製造を始めたのち、娘婿に当たるリースの父にビジネスを譲渡。熱心なファン層を中心に据えることでブランドを育てられると確信したリースは、父が経営から退くことを条件に家業を引き継ぐ。技術革新とインフルエンサー・マーケティングで同社を躍進させた。

文=ローレン・デター 写真=ジャメル・トッピン

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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