「オーナーシップ」と「アバウトさ」 スウェーデン流でつくる幸せな職場

ジバンシィ ジャパンのプレジデント&CEO クリスティン・エドマン


スウェーデン流は、もともと肌に合っていたのだろう。エドマンはメキメキと頭角を現し、香港でエリアマネジャー、そして日本進出の際には支社長へステップアップ。久しぶりに戻ってきた国内で、今度は長時間労働で非効率になりがちなスタッフの意識改革を行う側に回った。

制度を整えただけではない。家族などのバックグラウンドも含めて自分のストーリーを語ったり、スタッフの結婚や妊娠がわかれば、みんなの前で発表して拍手をしたり。職場でもプライベートなことを自然に話せる空気をつくり、互いにサポートしやすい環境を整えていった。

国内で64店舗、売上高500億円を超える規模に成長させたエドマンは、2016年にH&Mを退職。翌年にジバンシィ ジャパンのトップに就任した。転職の理由を、こう語る。

「オンラインが伸びて店頭に足を運ばない傾向が強まるとき、生き残るのはブランド力のある会社です。ブランドの価値をもっとも学べるのは、ラグジュアリー分野。ファストファッション業界で培った効率性をそこに融合させることが、次の挑戦です」

転職にあたり、心に秘めていたことがもう一つある。H&M日本法人で働きやすい職場をつくったものの、「スウェーデンの会社だから」と割り引かれることも多かった。 「どこの国の企業だって、人々は幸せに働ける。そのことを証明したい」

トップ就任から2年。職場づくりはどこまで進んだのか。ショップに行ってスタッフの表情を見れば、その成果がわかるかもしれない。


クリスティン・エドマン◎外資系玩具メーカー、家業の菓子メーカーを経てスウェーデンに移住し、MBAを取得。その後、H&M本社に入社し、2008年に日本法人の社長に就任。17年、LVMHファッション・グループ・ジャパンのジバンシィ ジャパン プレジデント&CEOに就任。

文=村上 敬 写真=間仲 宇

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