退職の時期が寿命を決める? 米国の「都市伝説」の真偽

(Hero Images/by Getty Images)


統計が招く誤解

統計的研究の結果を解釈するときには、相関関係と因果関係を見誤り、それによって誤解を招く結論を導き出してしまうことがよくある。

例えば、非常に早く引退した人の方が長生きだという調査結果があったとする。だが、それはつまり、早期に退職したことが、長生きの原因になっているということだろうか?あるいは、早く退職する余裕がある人はより経済的に余裕があり、より教育を受けているために、寿命が長くなっているのだろうか(これら2つは、長寿の要因となることが過去の研究で示されている)?

一方、早期退職者の方が早く死亡しているという別の調査結果があったとする。早い時期に退職したことは、その人たちが早く死亡する原因だったのだろうか?中には健康状態が良くないことを理由に、早く退職した人もいたと考えられる(働いた期間に関係なく、より早い時期に死亡していたと推測される)。

長く働くことは、長く生きるということへの合理的な対応だ。たとえ数年間でも退職を遅らせれば、その人が退職までに得る収入の総額を大幅に増やすことができる。
複数の調査から、高年齢の労働者の多くは60代後半から70代前半まで働きたいと考えていることが分かっている。長く働くと死期が早まるなどという誤解を招く話によって、こうした労働者を脅かすようなことは避けたいものだ。

長寿の秘訣

ところで、長生きしたい人たちが心掛けるべきことは何だろうか?これまでの研究で、古くから一般的に言われてきた次のようなことの有効性が確認されている。

・栄養価の高いものをバランスよく食べる

・健康的な体重を維持する

・自分の好きな方法で運動する

・禁煙する、アルコール・薬物を乱用しない

・お金の心配を含め、ストレスの原因になることを最小限に抑える

・働く必要がある、または働きたいと思うなら、楽しめる仕事、それ自体がストレスの原因になったり、身体的な害をもたらしたりすることがない仕事を探す

・安定した社会的ネットワークを築く

・旅行や趣味、家族や友人たちとの交流、ボランティア、仕事など、自分にとって意味のあることを見つける

編集=木内涼子

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