同類ばかりの環境は危険 反対意見から学ぶことの大切さ

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大半の人は、自分の意見に固執し、同じ考え方の友人や評論家に意見を補強してもらいたがるものだ。

そのように自分の声しか聞こえない状況では、学ぶ機会が失われるという問題点がある。私はなにも、自分の価値観や意見を捨てるよう奨励しているわけではない。言いたいのは、反対意見からは驚くほど多くの情報が得られるということ。また、反対意見を聞くことで、自分にとって重要な問題への理解度を高めることができる。

これは、アーサー・ブルックスの著書『Love Your Enemies: How Decent People Can Save America from the Culture of Contempt(敵を愛する 礼儀ある人々は米国を軽蔑の文化から救える)』の中核となるテーマだ。

ブルックスは前回前々回の記事で、私たちが必要なのは意見の相違を減らすことではなく、意見の相違とより良く向き合うことだと指摘した。今回の記事で彼は、ネルソン・マンデラと結婚カウンセラーから学べる生産的スキルを紹介している。

筆者:ブルックスさんは「バブル(閉ざされた環境)から抜け出せ」と奨励しています。これについての説明と、どんな利点があるかを教えてください。

ブルックス:私たちの多くは知的な“サイロ”の中に住んでおり、自分が既に同意している人や情報源のみと友達になったり、フォローしたりしている。いつでも自分が正しいと言ってもらえるのは心地よいものだが、これは私たちの視点を危険なほどに歪めてしまう。

こうすることで、まず自分の考えに対する反論がなくなる。そして次に、政敵のことを一人の人間ではなく、自分が同意できない人のカリカチュア(戯画)として認識してしまう。こうして私たちは、危険な非現実世界で生きることになる。バブルから抜け出すことが重要な理由はここにある。

バブルから抜け出すというのはどういうことか? もしあなたがニューヨーク・タイムズ紙を読んでいるのなら、時にはウォールストリート・ジャーナル紙の論説も読むこと。保守的なラジオ番組しか聞いていないなら、週に1度は米公共ラジオ局(NPR)の朝番組を聞くこと。さらにいいのは、自分と同じ党には投票しない人と友人になることだ。バブルから抜け出せば、それまで軽蔑の目で見ていた人々を生身の人間として見ることができる。
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編集=遠藤宗生

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