世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

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Forbes JAPAN 8月号(6月25日発売)に掲載の「日本のインパクト・アントプレナー35」。そのアドバイザリーボードとして名を連ねた社会的投資推進財団・常務理事の工藤七子に、世界で市場規模が拡大するインパクト投資、そしてさらにその先に待つ「お金の流れ」について寄稿してもらった。


リスク・リターンに加えて社会・環境へのポジティブなインパクトを志向する「インパクト投資」は、世界での市場規模が約50兆円(2018年度)に達し、前年比2倍規模と大きく成長している。日本でも、前年比5倍近い約3440億円(18年度推計)と右肩上がりに急拡大している。ここ数年、グローバルでは、ブラックロック、TPGなど大手金融機関が参入し、日本でも第一生命保険や野村アセットマネジメントがインパクト投資に着手するなど、大手の機関投資家や金融機関が本格的に乗り出している。環境・社会・企業統治を評価するESG投資が一般化し、より意図的・具体的に社会・環境課題への「解決策や価値の提供」を目指すインパクト投資がESG投資から一歩踏み込んだ選択肢として注目されているのだ。13年のG8サミットを機に「社会的インパクト投資タスクフォース(現Global Steering Group for Impact Investment)」が設立された時には、大手金融機関を巻き込んだ「インパクト投資のメインストリーム化」が挑戦的な課題として語られていた。しかし、5年が経過した現在、その実現は時間の問題だと感じられる。

一方、「インパクト投資は、世界が直面する重要な社会課題の解決に効果を発揮しているのか」という問いかけが聞かれるようになった。海外では、インパクト投資が一種のトレンドになりつつあり、「社会的インパクト」のラベルが単なるマーケティングツールとして使われる、いわゆる「インパクト・ウォッシング」の懸念が高まっている。

国際的なインパクト投資家のネットワーク組織のGIIN(Global Impact Investing Network)は19年「The Core Characteristics of Impact Investing」と題して本質的なインパクト投資を構成する4つの要素を発表した。社会・環境インパクトへの創出の明確な意図、社会的インパクトに関するエビデンスやデータの活用、社会的インパクトマネジメント、インパクト投資全体の成長への貢献、というインパクト投資家としての行動指針がまとめられている。

文=工藤七子

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