以下の質問に対する親の答えを知らずにいた場合、家族は対応を誤る可能性がある。
質問1:夫婦の一方の体が不自由になった場合、または長期的な介護を必要とするようになった場合、夫婦はどこで暮らしたいと考えているか?
この質問に答えてもらうためにはまず、親に自宅の安全性やアクセスのしやすさについて、確認してもらう必要がある。
寝室は1階にあるだろうか、階段は急ではないだろうか、お風呂とトイレは車椅子の人でも利用できるだろうか?また、玄関の前に階段がある家の場合、その横に傾斜路をつくることは可能だろうか?車椅子や歩行器をレンタルして、自宅の出入りのしやすさをテストしてみることが重要だろう。
質問2:夫婦のどちらかが継続的な介護を必要とするようになった場合、誰にその役割を担ってもらいたいと考えているか?
夫婦にはお互いの介護をする用意ができているだろうか。あるいは娘や義理の娘に介護してもらうことを希望しているだろうか、それとも、外部の支援を受けたいと考えているのだろうか?
家族による介護を希望するのであれば、すでにそれについて相談をしているだろうか?親の介護がどのような仕事になるか、家族は理解しているだろうか?介護の難しさと責任を理解せずにその仕事を引き受ければ、悲劇的なことになる。
質問3:どちらか一方が長期的な介護を必要とするようになった場合、費用はどうするつもりだろうか?
長期的な介護が必要になった場合に利用できる民間の保険に加入しているのであれば、どのような場合に保険を申請できるのか、給付金はいくらか、給付の申請方法はどのようになっているのかなどについて、子供が理解しておく必要がある。代理店を介して加入したのであれば、その代理店に直接確認すると分かりやすいだろう。
また、介護保険に加入していないのであれば、必要な費用は自分たちで支払わなければならない。その場合にも、家族がそれを知っていることが重要だ。
米国人には、長期介護にかかる費用は高齢者向けの公的医療保険(メディケア)でカバーされると考えている人が多い。だが、メディケアの給付対象は、3泊4日の入院後100日までのリハビリに限定されている。また、最初の20日以降は、一部の費用を自己負担することになっている。
これらの3つの質問に対する答えは、親が必要とする長期的な介護についてどのように計画を立てればいいかについて、家族により明確な理解を与えてくれるだろう。