「全然同意できない」とはっきり言い合う。多国籍のチームづくりは山あり谷あり

シンガポール法人のメンバーたちと筆者(左から2人目)

社員数十人のベンチャーでも、海外で成功できるのか。私が転職したAIベンチャー企業「ABEJA」は2017年、初めて海外へ進出しました。国内事業すら安定していない状態で、かつ転職間もない私がまさかの海外法人立ち上げの担当に。

人脈、経験、英語力、全部ゼロ。シンガポールに単身乗り込んだ上司と、東京に残った私で試行錯誤しながら仲間を増やし、結果を出すまでの2年。ベンチャー企業による海外展開の「リアル」を伝えていきます。

看板・組織のないところから走れる人を採る難しさ

2017年6月、シンガポールで海外担当役員の外木直樹が政府や大学との協業を推進している頃、私は現地社員の採用を本格的に始めていました。

応募者は、海外支社長などの経験者が多く、私よりも年齢が一回りほど上で半分以上が外国籍。中途採用の経験がなかった私は、肩書だけで圧倒されてしまい、応募者の持つスキルを見極めきれないまま最初の数人は、すぐ「合格」と評価していました。

ある時、私の採用記録を目にした外木から、こうツッコミが入りました。

「この人、看板や戦略、組織がないところから売り上げを作った経験があるか面接で聞いた?」と。応募者の具体的な経験を聞いていなかったため、この質問に私は答えられませんでした。

その後、スタートアップの採用支援を手掛けてきた人材紹介会社の経営者の方に出会い、紹介を受けたのが、欧州出身・日本在住の男性でした。BtoBの製品の事業開発から、日本のスタートアップの海外法人の設立・撤退まで、経験が豊かでした。

実際に会って話してみると、日本人とのコミュニケーションも慣れていて、対応にスピード感がある。彼を採用してほしいと経営陣に猛プッシュしたのは言うまでもありません。彼の採用が決まるまで、結局3カ月で50人前後を面接しました。

男性の入社と同時期に、外資系企業での営業経験豊富でシンガポール在住の日本人女性の入社も決まり、私と外木の2人だけだったシンガポール法人は4人に増えました。


現在のグローバルチームのメンバー
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文=夏目萌

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