つまり、今から25カ月も先のことになるというのだ。この情報は著名アナリストのミンチー・クオ(郭明錤)のレポートで明らかになった。クオによると2021年のiPhoneは、顔認証のFaceIDに加え、指紋認証センサーを備えたものになるという。
アップルの新型指紋センサーはクアルコムの超音波ユニットを採用したもので、画面のどこをタッチしても指紋認証が可能になるという。アップルはこのテクノロジーの導入に関して、競合の先を行くのではなく、完成度を優先するアプローチをとるようだ。
しかし、競合メーカーの多くはディスプレイ内蔵型の指紋センサーを既に商品化している。2018年の年末時点で競合が実現したテクノロジーを、アップルは3年も遅れて市場に投入するというのだ。
アップルが今年発売する新型iPhoneが、さほど期待できない端末になることはほぼ確実だ。以前の報道では、2020年の新型モデルは大幅な改良を加えたものになる見通しとされたが、指紋センサーの復活がさらに1年遅れになるのであれば、アップルファンの期待をまたしても裏切ることになる。
アンドロイド端末に既に実装されたテクノロジーが、3年も遅れてiPhoneに搭載されるという話は、非常に残念だ。テクノロジー業界で古くから伝わるマーケティングの失敗のセオリーに「オズボーン効果」と呼ばれるものがある。
1983年にコンピュータメーカーのオズボーン社は、未完成だった次世代のコンピュータを発表し、「未来の製品が現行モデルの性能を大幅に上回る」と宣伝した。その結果、顧客の間で買い控えが起き、オズボーン社の売上は急落し、数カ月後に同社は倒産した。
アップルがオズボーンと同じ道をたどらないことを祈りたい。