UMGは世界最大の音楽レーベルとして、テイラー・スウィフトやクイーン、リアーナやジェイ・Zなどの有名アーティストの楽曲の配信権を保有している。UMGは2017年にテンセントと提携しており、テンセントミュージック・エンタテインメント(TME)は以前からUGMのライブラリをストリーミングに使用してきた。
ヴィヴェンディは8月6日の声明で、テンセントが今後、UMGのアーティストの中国におけるプロモーションを支援し、新たなアーティストを中国市場に送り込んでいくと宣言した。
ヴィヴェンディはメディアや通信事業を中心とするコングロマリットで、同社の会長を務めるヤニック・ボロレは、2018年4月にビリオネアの父親、ヴァンサン・ボロレから経営を引き継いだ。今回の買収にあたり、UMGの企業価値は340億ドルとされたという。つまり、テンセントは33億ドル(約3500億円)相当のUMGの株式を入手することになる。
テンセントは株式の取得に際し、今回と同じ評価額をベースに株式数を2倍にするオプションを与えられるという。
ヴィヴェンディはここ数年で数十億ドルにのぼる資産を売却しており、ゲーム企業「ユビソフト(Ubisoft)」の株式を、テンセントらに売却していた。同社は昨年7月、UMGの株式の半分を売却する用意を進めていると述べていた。ストリーミング市場の成長により、UMGの企業価値は、さらに高まることも予想されていた。
英紙フィナンシャル・タイムズは、UMGが以前に最大50%の株式の放出を宣言したことから考えて、テンセントの取得する株式が20%以上に及ぶ可能性を指摘した。ヴィヴェンディはテンセント以外の企業が買収交渉に加わる可能性についても触れており、放出する株式が110億ドル以上に達する可能性もある。
ヴィヴェンディの株価は今回の報道を受けて、6.55%の上昇となった。UMGの評価額はストリーミング人気の高まりで今後も上昇していきそうだ。ヴィヴェンディはUMG株の売却に関して、今後も別の企業とも調整を行っていくと述べている。