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2019.08.08

18歳で感じた「恐怖」が原体験。美容医療分野の食べログを目指す、トリビューが3.5億円を調達

トリビューCEOの毛 迪

7500億円──これは日本国内における美容医療の市場規模だ。美容外科、美容皮膚科、審美歯科の3領域で構成されている美容医療市場の中でも美容外科と美容皮膚科の施術件数は、年間278万件(2017年時点)にのぼり、世界第4位の市場を形成している。

それだけのニーズがあるにも関わらず、美容医療に関する情報はあまり目にしない。例えば、美容医療に関する体験談はあまりオープンに語られてこらず、クリニック側も広告規制によって効果を自由に謳うことができずにイメージ広告に寄ってしまっていた。

「そのため美容医療を受けたいと思っても、適切な情報が見つかりにくかった」と、美容医療市場の課題を口にするのは、トリビューの毛 迪(Mou Dei)だ。こうした課題を解決すべく、毛は現在、美容医療の口コミ・予約アプリ「トリビュー」を手がけている。

同社は2019年8月8日、W ventures、ニッセイ・キャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先とした第三者割当増資、日本政策金融公庫からの融資によって、合計3.5億円の資金調達を実施したことを明かした。今回の資金調達により、累積調達額は約4.5億円になった。

調達した資金をもとに、トリビューは人材採用および事業投資を強化。2020年末をめどに累計会員数100万人・契約クリニック数1000院の到達を目指すという。

18歳の頃に感じた「恐怖感」が創業の原点

トリビューの創業は2017年7月。その3カ月後にサービスを開始した。美容医療の口コミ・予約アプリを手がけることにした理由は、毛自身が美容クリニックに通う中で感じた“課題感”が根本にある。

毛は18歳の頃に初めて美容クリニックで施術を行ったのだが、過去に顔に注射を打つ経験をしたことはなく、恐怖感や不安が大きかったという。

「当時、注射を打った後のイメージが全くできず、2ちゃんねるやYahoo知恵袋を10年分くらい遡って情報収集したのですが、私が必要としていた情報は収集できませんでした。カウンセリングでも結局、恐怖感や不安感を解消できず、最終的には勢いで施術に踏み切りました。結果的に、施術の内容は満足のいくものでしたが、施術前の恐怖感や不安感は大きい。自分の見た目を少し変えたい、見た目に関して悩みがあったら、美容医療を選択肢のひとつとして検討できる。そんな世界を実現したいと思ったんです」(毛)

こうして「トリビュー」が生まれた。2017年10月のサービス提供開始から1年10ヶ月で、累計ダウンロード数は15万件を突破。毛によれば、「会員の85%が10〜20代であり、施術の平均単価は28.5万円と他サイトと比較して熱量の高いユーザーが多い傾向」だという。


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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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