ビジネス

2019.08.07

創刊から5年。日本を熱くする「CRAZY for GOOD」って何だ?

左から、WELgee代表の渡部清花、ミツフジ代表取締役社長の三寺歩、ラクスル代表取締役社長CEOの松本恭攝


「これ以上はきつい」─ラクスル代表取締役社長CEO 松本恭攝(2018年)



スタートアップランキング1位になり、Forbes JAPAN 2018年1月号で表紙を飾ったのがラクスルの松本恭攝。あえて赤字を掘って事業を拡大し、急成長したものの、人と組織が急激な成長についていけずに崩壊寸前に。「これ以上はきつい」と草創期のメンバーが涙をこぼして退社。他のメンバーも会社を去ろうとしていた。記事で松本は「この頃が一番きつかった」と語っている。彼が当時の舞台裏を明かす。

──「きつい」と言われた当時についてお話していただけますか。

松本:サービスを始めて1年後に累計18億円の出資をいただき、お金は集まるんですけど、人が集まらない。売り上げはマーケティングに投資したらどんどん増えるのですが、一方で売り上げが伸びてもオペレーションがそのままではすごく忙しくなる。

当社の場合は、売り上げが初年度で7億円、2年目は27億円と上がっていましたが、それを支えるマネジメントが全く変わらない状況でした。つまり、当初いた仲間たちの負荷がすごかったんです。さらに、マネジメント経験がないメンバーがマネジメントせざるを得なくなる。

結果的にすごく会社が痛んで、みんなが辛くなっていく。2013年ごろ、売り上げが4倍になっているのに常にみんな辛い思いをしているといった状況でした。

──成長の痛みですね。そうした中で、次々と新しいビジネスモデルを立ち上げている。松本さんにとって「無我夢中」とは何でしょう?

松本:僕は日本に生まれて本当に良かったなって思います。日本ってチャンスに溢れてると思うんですね。すごく逆説的なんですけど、日本人ってそういう風に思っている人が少ないんですよ。アメリカや中国にに生まれたら良かったと思っているからこそ、日本でチャレンジする人の数は少ない。

溢れたチャンスにダイブして、ダイナミックな戦い方をしていくと、すごく楽しく、やりがいがありますし、海外以上に大きなビジネスを作るチャンスがあると思います。日本の社会のあり方そのものを変えていくことができたらな良いなと思いますし、変える余地がたくさんあるからこそ、すごいモチベーションが湧き続けているんです。


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文=須貝直子 写真=小田駿一

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