LGBTからダイバーシティを考える


最初の就職先、サン・マイクロシステムズの採用面接でも面接官にオープンに話しました。「LGBTだからと言って落とされるような理解のない会社なら行きたくない」と考えていたのですが、当時も今もIT業界は開かれていますね。採用面で企業が問題視することなんてありませんでした。上司がわざわざ他のLGBTの社員に紹介してくれたりもしました。

だけど、そこでカミングアウトをしたからといって、私を「強い人」とは思って欲しくないんです。

結局、自分がゲイであることをもう1度隠すことになったからです。



きっかけは日本への転勤でした。日本人の母が、「日本はコンサバだから、キャリアに支障をきたすし、会社にも迷惑がかかるかも」と忠告してくれたことを受けて、オープンにすること慎重になりました。

同じ年に日本人のパートナーに出会って、間もなく一緒に暮らすようになりました。彼は自分の両親にもLGBTであることを話していなかったし、一般の生活でも周囲に「ばれない」ように注意をしていました。

彼のその意思を尊重したくて、私も同様にしました。それは、15年間に及ぶ期間でした。

しかし、このままではリーダーとして十分に力を発揮できないと、段々と感じるようになりました。自分のチームやお客様・会社全体に対してもっともっと貢献できるはずが、どこかリミットが掛かっているような気持ちがしたんです。

エクスペディアから声がかかった時、「より強いリーダーになるために、カミングアウトさせてほしい」と、パートナーにお願いをしました。そして、彼は躊躇することなくサポートしてくれました。

エクスペディアの採用面接でカミングアウトをしたら、「当社はダイバーシティを重要視している企業で、むしろ大歓迎」と言われて、嬉しかったですね。

杉山:キャリアの転機とプライベートの転機が重なったわけですね。

ダイクス:その通りです。エクスペディアに入社して、本当にダイバーシティに富んだ会社だとわかりました。日本法人でも幹部の5割は女性で、社員の国籍も育ちも色々でとてもオープンな環境です。

入社してしばらく経ってから、私がリーダーとしてカミングアウトをした重要性を確信しました。エクスペディアも含めて、現代の企業は上下関係が強いわけではありません。

業務命令や指示するだけでは仕事はうまく進まない。チームが腹落ちしていないといけないんです。そのためにリーダーは、チームメンバーと強い信頼関係を結ぶことが大切です。

自分のとても大事な部分を隠しているリーダーには、チームと築く信頼関係の深さに限界があるかもしれません。私は、リーダーは自分のありのままの姿を見せた方がいいと思っています。

構成=岡田浩之 写真=藤井さおり

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