前出のカスとミロンはいずれも、昨年10月に米ファッション協議会(CFDA)と米アパレル企業PVHが共催した会議に参加していた。同会議では、業界の有力者や高等教育機関の専門家らがファッション業界における多様性とインクルージョンの現状について話し合った。
CFDAとPVHは今年1月、同会議の内容に基づく報告書を公表。業界関係者に対するアンケート調査では、41%が自分の組織の多様性を平均レベルと評価し、62%が職場のインクルージョン状況は平均的だと答えた。
報告書は「ファッション業界がインクルージョンや多様性のけん引役となるには、追加の多角的取り組みが必要だ」と指摘。「こうした取り組みには、インクルージョン研修など個人レベルのプログラムや、内外の組織のポリシーや慣習に焦点を当てた組織レベルの努力が含まれるべきだ。これらの数字は全く不十分だ」と結論している。
こうした報告書は出発点となる一方で、プラダのデュヴァネイやグッチのティラドら女性による行動や参加は、ファッション企業に大きな変化をもたらし、企業の失態を減らし、よりインクルーシブな服とメッセージを万人へ向けて送り出すことができるかもしれない。