そして今度は、多様性とインクルージョンに対する真剣な姿勢を示すためのさらなる施策とみられる試みとして、グッチは同社初となるダイバーシティ・エクイティ(公平性)・インクルージョン担当グローバル責任者のポストにレネイ・ティラドを起用した。ティラドは、米プロ野球の大リーグ機構(MLB)で最高多様性・インクルージョン責任者を務めていた人物だ。
グッチの取り組みはファッション業界では決して目新しいものではない。シャネルは今年7月、新たな多様性・インクルージョン責任者を採用。プラダも2月、多様性とインクルージョンに関する諮問委員会を新設し、共同委員長のひとりとして映画監督のエヴァ・デュヴァネイを任命した。またバーバリーは同月、多様性とインクルージョンに対する新たな一連の取り組みを発表している。
米ファッション工科大学で最高多様性責任者(CDO)を務めるロナルド・ミロンは「(CDOを置くこと)は高等教育機関では一般的だが、ソーシャルメディアや消費者からの需要により、企業や団体にも同様の対応を求める圧力が高まっている」とフォーブスに語った。
経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、民族的に多様な経営陣を持つ企業は、ライバル企業よりも33%業績が高く、ファッションブランドもこれに気付いているとみられる。
パーソンズ美術大学ファッション学部のジェイソン・カス副学部長は「意識が高まっているのは間違いないと思う。特に、多様性やインクルージョンに注力する企業ブランドのレベルでは」と説明する一方で、「各ブランドのコミュニケーション方法にどのような影響を及ぼすかを見極められるようになるまでには、少し時間がかかるだろう。各ブランドが展開するキャンペーンや文化的意識にどのような人々が登場するのか、自分たちの文化にないデザイン要素にどのように反応し触発されているか、という問題だ」とも述べている。