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観戦時間の70%以上がストレスになっている

他にも課題はあると伊藤は言う。

「トイレへ行けば並ぶ、食べ物や飲み物を買うにも並ぶ。野球なら並んでいる時間は観戦できないし、サッカーならばハーフタイムに走って買いに行き、急いで戻ってこなければならない。この時間はお客さんにとって非常にストレスになっている。事実として、電車移動などを含めるとざっくり観戦時間の70%以上がストレスな時間なんです。ストレス時間が多いことで満足度は当然下がります」(伊藤)

また、ラグビーでは、デジタルサイネージを活用した試合も行われているが、「反則があれば、デジタルサイネージでルールの細かい解説をしてくれます。初心者には便利なサービスですが、ルールを熟知しているファンからすれば、深い戦術を知りたい、リプレーを流してほしいという欲求もある」とデジタルサイネージの限界を指摘する。

これらの課題を自社サービスの「MOALA」を利用し解決していくことでお客さん側、興行側の両者にとってメリットがあると伊藤は考えている。

「飲食物やグッズの購入はMOALAを利用しキャッシュレス化することで並ぶ時間を短縮できる。トイレにしても空き状況をリアルタイムで表示すれば並ぶ時間を減らせる。また、試合のリプレーや解説も見ることができれば、お客さんの利便性と満足度が向上します」(伊藤)

興行側にとってのメリットは、スタジアム内でのお客さんの行動が、デジタル化されることでマーケティングデータとして入手できることだ。現状、ほとんどの日本のスポーツチームはこうしたデータを持っていない。

「データを活用し、お客さんのストレス時間をいかに排除するかが鍵となるし、僕らがやらなければいけないことです。そうすれば、お客さんの満足度もあがり、関連購買も増える。結果、すべての収益が上がります」(伊藤)


playground代表取締役の伊藤圭史

「MOALA」を全面的に採用した「有安杏果 サクライブ2019」では、「電子チケット入場者に対し、入場時にオリジナルメッセージ入りスタンプの押印の他、サブチケットで限定グッズ販売、有安杏果本人のWelcomeメッセージ動画、終了後のお礼メッセージ動画の配信などさまざまなデジタルサービスが提供された。

同社は今年6月、サッカー選手の本田圭佑氏が手掛ける個人ファンド「KSK Angel Fund LLC」を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施し、アンバサダーに迎えた。本田氏の就任について「サッカーに限らず、彼の人脈は非常に幅広いので、これを機に一緒にグローバル展開を考えています。日本だけでなく、世界的にもスポーツやエンターテイメントのマーケットは伸びている。そのなかで収益性を高めるためのデジタルサービスは必要とされています」と伊藤は将来を見据える。

文=本多カツヒロ、人物写真=小田駿一

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