ワインに合わせて、シーフードもお肉も
イタリア旅行で楽しみといえば食事だろう。各地域ごとにパスタの種類やチーズが無数にあり、地元のワインと合わせて、気張らずに至福の食事が楽しめる。
なかでもおすすめは、ウーディネの近く、ブットリオにあるレストラン「Trattorio Al Parco」。「メロイワイナリー」(Meroi)のオーナー兼醸造家のパオロ・メロイ氏自らが炭火で焼くお肉は、シンプルながら素材の味が活かされていて、本当に美味しい。ぜひ、手打ちパスタも一緒にオーダーを。
メロイ氏が炭火で焼いてくれた地元の牛肉
メロイのワインは、高品質で、凝縮した豊かな果実と優しい口当たりが特徴。上級キュヴェは、単一畑から造る、長期熟成が可能なワインで、この地方のトップクラスと言える。ワインの種類も豊富なので、食事に合わせてワインを選びたい。
個性的なオレンジワイン
赤・白・ロゼのワインに加えて、「オレンジワイン」というものを聞いたことがあるだろうか。世界的に人気がでてきていて、筆者が住むサンフランシスコでも、特にナチュラルワインを扱うワインバーなどでよく見かけるようになった。
オレンジワインは、白ブドウから造るワインだが、赤ワインを醸造するときのように、ブドウの果皮を漬け込むことで、果皮から色素や風味を引き出す。こうすることで、オレンジや琥珀がかった色合いになり、テクスチャや厚み、多少の渋みや苦味が加わり、風味豊かなものになる。食事とのペアリングの可能性も広がり、シェフやソムリエからも新たな選択肢として注目されている。
ワイン発祥の地と言われるジョージアで古くから造られてきたワインだが、このフリウリ地方も、オレンジワインの発信地として知られる。
その先駆者的な生産者が「ラディコン」(Radikon)だ。先代のスタンコ・ラディコン氏が、1995年からオレンジワインを造り始め、現在は彼の子どもたちに引き継がれている。多数のブドウ品種からワインを造るが、なかでも、この地に昔から植えられているリボッラ・ジャッラを大事にしている。そして、ワインによっては 亜硫酸を無添加にするなど、自然なワイン造り を実践する。
ラディコンのオレンジワインは、3〜4ヶ月の長い間、果皮をワインに浸漬させる。そして、古い大樽で4年間、瓶詰めしてから、さらに2年間の熟成を経てリリースされる。白ブドウから造るワインとしては、かなり長い熟成期間だ。独特の風味があり味わい深い。機会があれば、一度試してみては。
島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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