ドローンによるテロ攻撃で「生物兵器」がバラ撒かれる恐怖

cla78 / shutterstock.com

EUで安全保障同盟担当委員を務めるジュリアン・キングは先日、ドローンを用いたテロ攻撃の危険性を訴えた。生物化学兵器を搭載したドローンで、人口密集地がターゲットとされた場合、甚大な被害が及ぶ可能性がある。

ドイツメディアの「ヴェルト」の記事によると、フランスのテロ対策調整室(UCLAT)は極秘レポートを内部で共有しており、生物兵器を搭載したドローンがサッカー競技場を襲うケースを想定したという。

ドローンを攻撃に活用した事例としては、イランが支援するイスラム教過激派組織が、ガザ地区でイスラエル軍の戦車を攻撃したケースが知られている。今後は軍事活動に限らず、民間人をターゲットとしたテロ攻撃にドローンが活用されることも想定できる。

この状況を踏まえ、EUのキングは同盟国に情報共有を呼びかけ、適切な対策を講じようとしている。昨年、英国のサッカー競技場のセキュリティチームの懇親会で、今後の2つの脅威が話し合われた。その1つは試合終了後の観客の列に大型自動車が突入するケースで、もう1つはドローンを用いたテロ攻撃の可能性だった。

会議場となったサッカー競技場では、5万人以上がつめかけるイベントが年間25回以上も開催されている。FBIの担当者も昨年、国家安全保障委員会でドローンが大規模イベントでのテロ攻撃に活用される危険を指摘していた。「ドローンは入手が容易である一方で、監視が難しい」と担当者は述べた。

過激派組織イスラム国は既に、パリのエッフェル塔やニューヨークを標的としたドローン攻撃を描くプロパガンダ映像を公開している。合衆国国土安全保障省の元長官のキルステン・ニールセンは「これらの攻撃に対応する準備を進めている」と述べていた。

英国のテロ対策チームの担当者は「ドローンは既に戦場で用いられており、テロリストはそこで得られた知見を民間人の攻撃に用いる可能性が高い」と指摘した。ドローンに搭載可能な爆薬の量は限定的だが、生物兵器を搭載したドローンが人口密集エリアを襲ったとしたら壊滅的な結果がもたらされる。

イギリスの国防大臣のベン・ウォレスも昨年、ドローン攻撃の危機を警告していた。「テロ集団は新たな手法で民間人を襲おうとしている。生物兵器を搭載したドローン攻撃は、身近に迫っている。我々はこれらの攻撃に対する防御を高めていかなければならない」とウォレスは述べていた。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事