不思議なことに、生まれたばかりの赤ちゃんは、うま味を識別することができます。うま味を好む一方で、酸味や苦味を嫌う。味覚が身体に必要な栄養素を取り込むためのシグナルとなっているのです。
ちなみに、舌の上の味蕾というレセプターが「味」をどのように判断しているかというと、それぞれ以下のようになります。
・甘味…食べ物にエネルギーが豊富に含まれていることを判断するため
・塩味…生きていく上で欠かせないミネラルが含まれるかどうかを判断するため
・苦味…自然の植物には毒を含むものが多く、それを避けるため
・酸味…食べ物が腐っていないかを判断するため
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは、目も見えず、耳も聞こえない。どうしてそれでもお母さんのおっぱいにたどり着けるのでしょうか? そこで機能しているのが「嗅覚」です。赤ちゃんの嗅覚はお腹にいる時から大人と同じように正常に発達しているため、母乳の香りを嗅ぎ分けられるのです。同じ哺乳類である犬の赤ちゃんが、クンクンと鼻を効かせながらおっぱいに向かっていくのと同じです。
ただ、人間の赤ちゃんは、他の動物のようには自力でたどり着くことはできません。それは、ヒトは生まれてすぐに自立ができず、親のサポートを必要としている、つまり愛情を必要としている動物だからです。だから母乳が「初愛の味」であるかなと思います。
その嗅覚は、味においても非常に重要な役割を果たしています。風邪をひいて鼻が詰まっていると味がわからないし、鼻をつまんで食事をしても味を感じない。つまり、味とは味覚と嗅覚が一緒になって初めてちゃんと機能する。それぐらい人間の嗅覚は味を判断するのに不可欠なのです。
連日猛暑が続き、クーラーの効きすぎた室内との寒暖差で体調を崩しやすい時期。夏風邪をひいて喉や鼻を痛める前に、体温を下げてくれる夏野菜を食べるなど、内側から体調のケアを心がけましょう。
連載:松嶋啓介の喰い改めよ!!
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