それから、わずか1カ月。松本の次なる挑戦の内容が明らかになった。彼が次に取り組むのは、“リアルビジネスとテクノロジーの融合”だ。
8月6日、松本が新たに立ち上げた会社「カンカク」は東京・北参道に完全キャッシュレスカフェ「KITASANDO COFFEE」を正式にオープン。近日中に、事前注文ができるiOS/Androidアプリをリリースする予定であることを明かした。
北参道にオープンした「KITASANDO COFFEE」
松本はまた、カンカクの他に、イタリアンレストラン「ラ ブリアンツァ」をオープンした実績を持つシェフの奥野義幸とともに会社「イタダキ」を設立。この会社では完全キャッシュレスの低糖質ピザ専⾨店「SONOBON(ソノボン)」を手がけていくという。
十数年の時を経て、再び取り組む「カフェ」
2006年、無料写真加工アプリ「DECOPIC(デコピック)」が大ヒットしたコミュニティーファクトリーを立ち上げた松本は、2012年に同社をヤフーへ売却。その後はヤフー、メルカリで働くなど、ずっとテクノロジー領域でキャリアを積んできた。
しかし、実はキャリアの原点は「カフェ」にある。中央大学に在学中、初めて会社を立ち上げ、手がけた事業が「カフェ」だったのだ。松本にとっては、数十年越しに再び取り組む事業テーマでもある。当時とはもちろん市場環境も異なっている中、なぜ松本はカフェを手がけることにしたのか。
正式オープン間近の「KITASANDO COFFEE」を訪れ、松本にカフェを手がけることにした理由、そして社名の「カンカク」に込めた思いを聞いた。
MAUではなくDAUのビジネスをやりたかった
2018年4月にメルペイのCPOに就任し、サービスのリリースに向けて、UI/UXの設計はもちろんのこと、加盟店契約の交渉にも取り組んでいた松本。メルペイに関わる中で、自然とリアルビジネスへの関心が高くなっていったという。
「メルペイは“決済”という実経済に携わるビジネスだったこともあり、自然と非インターネット領域でのビジネスを考える機会が増えていったんです。今の時代、スマホを当たり前のように持ち、フェイスブックやLINEを使っている。コミュニケーションの効率化など、“情報”という側面においてテクノロジーが価値を生む余地が減ってきているんです。
ただ、リアルビジネスに関しては、まだまだ変革の余地が十分にある。やはりインターネットビジネスとリアルビジネスを比較すると、当然リアルビジネスの方が大きい。だからこそ、テクノロジーを使って、リアルの生活を良くしていくことは可能性が大きいな、と思ったのです」