ビジネス

2019.08.06

元メルペイ松本龍祐が北参道でカフェを始める理由

新たに「カンカク」を立ち上げた松本龍祐


リアルビジネスに関しては、カフェ以外にもアパレルなど、さまざまな選択肢がある。なぜカフェだったのか。松本は「MAUではなくDAUのビジネスをやりたかった」と言い、その理由をこう説明する。



「『カフェがやりたい』というか、個人的には『ニューリテールをやりたい』という思いが強かった。そして、日本でニューリテールや流通系のスタートアップがあまり上手くいかない理由の大半は『コンビニがあるから』だと考えていました。

毎日のように行くコンビニで、大抵のものは手に入る。でも、顧客体験の質は高くない。その質に取り組めたら面白いんじゃないか、と。それでMAUではなくDAUのビジネス領域でチャレンジしようと考え、自分の1日の生活を思い浮かべたとき、毎日行くところがカフェだったのです」

カフェには国ごとの特性がある

こうしてアイデアの着想から、わずかな時間で立ち上がったのが完全キャッシュレスカフェ「KITASANDO COFFEE」だ。店頭で現金を取り出す必要はなく、支払いは「メルペイ」と「楽天ペイ」のスマホ決済サービス、クレジット/デビットカード、各種電子マネーで行える。そのほか、専用アプリを通じて店舗に向かう途中で事前注文し、到着後、注文した商品を受け取ることも可能だ。

従来のカフェと違い、テクノロジーを活用している点も特徴的だが、松本は「コーヒーのクオリティにもこだわっている」という。KITASANDO COFFEEは国内一流ロースターの焙煎豆のみを採用しており、手頃な価格で本格的なサードウェーブコーヒーが味わえる。



この事業形態にも、松本ならではの考えがある。松本は、KITASANDO COFFEEを立ち上げる上で、中国で急成長を遂げている「luckin coffee(ラッキンコーヒー)」や、サンフランシスコにあるロボットがおいしいコーヒーを入れてくれる「Cafe X」など、あらゆるカフェを視察。日本の市場環境を踏まえ、KITASANDO COFFEEのビジネスモデルに行き着いた。
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文=新國翔大、人物写真=小田駿一

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