10代の薬物乱用の一因は「自宅に放置されていた処方薬」

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米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」で発表された別の研究では、2004年から2015年の保険契約データを分析し、自分用にオピオイドを処方されていない人たちのオピオイド過剰摂取のパターンを突き止めた。

その結果、同一の保険契約にオピオイドを処方されている家族が含まれている場合は、オピオイドを処方されている家族がいない対照群と比較すると、過剰摂取の危険性が3倍近くに膨らんだことがわかった。この結果は、子どもから大人まで、すべての年齢層に当てはまる。

最初の2つの研究では、調査の一部を自己申告に頼っている。そのため実際の結果は、申告された数字よりも高い可能性がある(不法行為や非論理的行為については、過少申告するのが一般的だ)。研究ではすでに憂慮すべき結果が出ているが、実情はさらに悪いだろう。

研究から明らかになったこと

ティーンエイジャーを対象に絞った研究で、別の知見も明らかになった。この問題に、臨床医や親、家族がどう取り組むべきかを知らせるものだ。

複数の出所から処方薬を手に入れていたティーンエイジャーの70%以上が、その1年以内に、物質使用障害(特定物質を使用して問題が生じていたにも関わらず、使用を続ける行動パターンが見られる障害)を抱えていたという。そうした人の乱用歴を見ると、使っていたのは必ずしも処方薬というわけではない(アルコールや、ほかのドラッグを使用していたケースもある)。

重要なのは、彼らがすでに薬物を乱用しやすい傾向を持っていたことだ。薬物を見つけようとしたときは、最も入手しやすいところをまず狙う。それこそまさに、自分や友人の家、あるいはほかの家族が住む家のなかに保管されている薬だ。

そうは言うものの、先述した保険契約データの分析研究からは、オピオイドを処方されている人が家族にいる場合は、オピオイドを処方されていないほかの家族全員の過剰摂取の危険性が、一般により高くなることがわかっている。薬物を探そうとする行動の役割を軽く見ているわけではないが、年齢による差が見られない(子どもから大人まですべて当てはまる)という研究結果は、過失による過剰摂取とともに意図的な乱用を含む、より幅広い問題を指し示している。

研究結果を総合して考えると、何よりも留意すべきは、不要になった処方薬を自宅に保管しておくのは危険ということだ。特に、オピオイド鎮痛剤や精神安定剤、精神刺激剤といった中毒性の薬物が保管されている場合には、家族だけでなく、家を訪れる可能性のある他人の危険も高まる。

処方薬が本当に必要な場合であっても、自宅内の、できるだけほかの人には手の届きにくい場所に薬を保管することが重要であることを、これらの研究結果は浮き彫りにしている。もちろん、口で言うほど簡単ではない。しかし、適切な場所に薬を保管しなければ悲劇的な結果を招きかねないことは、研究結果を見れば明らかだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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