研究からわかったこと
1つめの研究では、高校生によく乱用されている処方薬の出所が特定された。研究者たちは、精神安定剤、精神刺激薬(欧米でADHDやナルコレプシーの治療に使われるアンフェタミンなど)、オピオイド鎮痛剤という3種類の処方薬に的を絞り、使用した1万8549人の生徒を対象に、その出所と使用動機を突き止めた。
2つめの研究では、12歳から17歳までのティーンエイジャー約10万4000人が乱用した処方薬の出所が特定された。
高校3年生で、昨年1年間に処方薬を乱用したことがあると申し出た割合は、およそ約11%だった。そのうちの半数近くが、薬の入手先は複数あると回答。彼らは主に、家族や、薬を処方されていた友人から手に入れていた。それ以外の入手先も、元をたどると家庭だった。
12歳から17歳までのティーンエイジャーの処方薬入手先として最も一般的だったのが、家族と友人だ。さらに、医師の処方箋を使って入手したケースもあるが、そうした処方箋の多くは、以前に病気になった際に出されたものだった。
処方薬を乱用したティーンエイジャーの約30%は、自宅の薬棚などに放置されていた薬を手に入れていた。余った薬を使用する確率は、男性より女性のほうが大きい。一方、男性は処方薬を友人からもらったり、ほかの入手先から購入したりする傾向が高かった。
研究論文の上級著者で、ミシガン大学看護学部のショーン・エステバン・マッケイブ(Sean Esteban McCabe)教授は、「この2つの研究が示唆することは、非常に明確だ」と語る。「親、公衆衛生専門家、臨床医は団結してこの問題に取り組まなければならない。スクリーニングや防止策、早期介入を進めるために、診療所や学校教育を支援し、臨床医療従事者のトレーニングをすぐにでも行う必要がある」