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2019.08.06 06:00

EV業界の「ニワトリと卵」問題、遅れる充電インフラの整備

(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

今後のEV(電気自動車)の普及を考える上で、大きな課題となるのが充電ステーションの整備だ。車両が先か、充電所が先かという問題はまさに、「ニワトリが先か卵が先か」の議論であり、米国の行政担当者らを悩ませている。

ただし、明確なビジョンを描いている人たちもいる。「充電インフラが整備されない限り、EV車両の所有率は伸びないだろう。EVを普及させるためには、まず充電ステーションの建設が必要になる。それは特に、人口密度の高い都市部についていえる」とテスラのシカゴ地域の担当者のLaura Pritchardは話す。

しかし、ここで浮上するのが、顧客が居ない段階で誰がインフラの構築を行うのかという疑問だ。米国のエネルギー大手Exelon傘下のEV支援企業「EZ-EV」のCarolyn Quazzoは「誰が充電インフラを建設すべきであるかは明確になっていない。うちに任せておけと言い出す人は誰もいない」と話す。

「現状では誰もがみんな、他企業の出方をうかがっている。それが一層、事態を複雑にしている」

EVの充電インフラの整備はどのように進むのだろう。シカゴでは先日、Illinois Autonomous Vehicle Association主催のカンファレンスが開催され、この問題に関する議論が交わされた。現地のクリーン交通プログラムのディレクターを務めるSamantha Binghamも「現時点で明確なプランは描ききれていない」と話した。

Binghamによると、シカゴでは住民の70%が集合住宅に住んでいるが、EV車両の70%以上は一戸建て住宅に居住する世帯が登録しているという。

「今後のEVの普及に向けて、コストを抑えつつ信頼度の高い充電ステーションを整備するための、最善策を探っている。現在はデータを収集し、最適な方法を見つけ出そうとしている段階だ」とBinghamは話した。

EVでの長距離通勤を可能にするためには、都市部だけでなく、農村部や州境のエリアにも充電所を整備する必要がある。「イリノイ州内の都市が連携するだけでなく、隣接する州同士の連携が必要になる」

調査企業Argonne’s CenterのAnn Schlenkerは、「この問題に関する最適な答はまだ見いだせていない」と述べた。「郊外から都市部にEVで通勤する人々の多くは、自宅に充電設備を備えている。今後は企業が、EV通勤者向けに充電所を整備することが求められる。しかし、人口が密集する都市部での充電ステーションの整備は、別の課題に直面する」

ここで検討すべきは、EVを個人所有にすべきか、シェア型にすべきかという課題だろう。「人口あたり、どの程度の数の充電所が必要になるか、いつまでにインフラの整備を行うべきかといった試算も必要になる」と、Schlenkerは続けた。

編集=上田裕資

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