今年は、10部門に増やし、幅広い領域で活躍する30歳未満を合計30人選出する。選出に際して、各部門の第一線で活躍するアドバイザリーボードを組成。各界のフロントランナーたちに選出審査を依頼し、その結果をもとに編集部で協議を行った。
株式公開(IPO)後に精力的な発展を遂げようとする企業を「ポストIPO・スタートアップ」を名付け、彼らの事業活動を支援しているシニフィアン共同代表の朝倉祐介。今年6月には、上場直前のスタートアップに投資し、IPO後もハンズオン型で経営支援する総額200億円のファンド「THE FUND」をみずほキャピタルと立ち上げた。
低迷していたミクシィの業績回復を牽引した実績でも知られる朝倉が、今回、Forbes JAPAN 30 UNDER 30のエンタープライズ/コンシューマービジネス部門アドバイザーに就任。
朝倉は、東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに就職。コンサルタントとして約3年間の経験を経て、学生時代に仲間と起業したネイキッドテクノロジーに復帰。代表取締役に就任して、30歳手前で同社をミクシィに売却した。20代のころから華々しいキャリアを歩んできたように思えるが、意外にも本人が振り返る当時のエピソードは、地道な苦労に溢れていた。
トラブルが当たり前の日常
20代のころは地味に過ごしていましたね。正直にお話しすると、苦労した記憶ばかりが残っています。
大学を卒業後、マッキンゼーで3年ほど働いてから、学生時代に仲間たちと立ち上げた会社に戻りました。本当は、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)のビジネススクールに行くつもりだったんですが、古巣の経営陣から、資金調達をするタイミングだから戻ってきてくれないかと相談されて、心が揺らいだんです。
僕はスタートアップに関心があって、アントレプレナーシップを学びたかったのですが、それを座学で勉強するのなら、最初からやってしまったほうが早いと思って、戻ることに決めました。
ただ、実際はすごく大変で、事前に聞いていた事業計画と実態には、大きな乖離がありました。資金繰り表すらなかったので、僕が最初の週にやったのは、それをつくることでしたね。いざ資金繰り表ができたら、今度は全くキャッシュが足りないことがわかりました。会社のことをきちんと調べていなかった自分が悪いのですが、戻って1週間で「これ、かなり厳しいやん」という状況です。でも、入ってしまったからには、自分が何とかしなきゃいけないと思い、入社1カ月半ほどして代表になりました。