僕自身も自分に期待しすぎていたことを反省しています。20代のころ、最初から「まあ、起業なんてトラブルが続くものだよね」とどっしり構えていたら、もう少し心穏やかにやるべき事に向き合えたはず。実際、ミクシィの社長になったときには、次々と問題が起きることはわかっていましたから、「あるある、こういうの」と余裕をもって対策に取り組むことができました。
同時に、大変なことでも、「こんなことは、なかなか経験できないな」と面白がって立ち向かえる気持ちも重要です。困難は、自分がリスクを取って挑戦していることの証でもある。みんなが経験できることでは決してない。それを一つずつ乗り越えていけば、自分だけのオリジナルな生き方につながるはずです。
起業家であれ、アーティストであれ、いろんな苦しみを乗り越えて初めてユニークな何かを生み出しているはずです。苦労は醍醐味だと捉えて、それを面白がるくらいの気持ちで突き進んで欲しいと思います。最終的にはどうにかなりますから。
あさくら・ゆうすけ◎シニフィアン共同代表。兵庫県西宮市出身。東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィへの売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員などを経て、現職に至る。
朝倉が「エンタープライズ/コンシューマービジネス部門」のアドバイザリーボードとして参加した「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者は、8月23日に特設サイト上で発表。世界を変える30歳未満30人の日本人のインタビューを随時公開する。
昨年受賞者、「スーパーオーガニズム」でボーカルをつとめる野口オロノや、昨年7月にヤフーへの連結子会社化を発表した、レシビ動画「クラシル」を運営するdelyの代表取締役・堀江裕介に続くのは誰だ──。