ビジネス

2019.08.05

資産運用をLINEくらい気軽なものに。クラウドポートが6.3億円調達

クラウドポート代表取締役の藤田雄一郎


しかし、すぐに事業が軌道に乗ったわけではない。第二種金融商品取引業のライセンスの取得という壁が立ちはだかった。審査を通過するためには、まだ事業を開始していないにもかかわらず、社内体制を整える必要があり、出口の見えないトンネルのような期間が続いた。結果的に登録完了まで約1年半を費やした。

こうして、さまざまな苦労の末に立ち上がった「Funds」は、先日神戸で開催された「Infinity Ventures Summit 2019 Kobe」のプレゼンコンテスト「LaunchPad」で優勝するなど、業界内外から大きな注目を集めている。

クラウドポートはソーシャルレンディングではない

世間的には、ソーシャルレンディングの企業と認識されることが多いクラウドポートだが、藤田は「ソーシャルレンディングの企業ではない」と言う。

「我々はあくまでプラットフォームです。同業他社の多くは、もともと不動産業や貸金業を営み、事業を円滑にするため、お金を集め、主に中小零細企業に貸すモデルです。それに対し、ファンズは貸付投資を通じ事業資金を借りたい企業と投資をしたい個人を結ぶプラットフォームです。企業の選定も上場企業が中心です」と他のソーシャルレンディング企業との差異を説明する。同社が選定するのは安定した上場企業が多いため、予定利回りは3%前後の商品が多い。

またいくつかのソーシャルレンディングの企業が行政処分を下されたことから、顧問やアドバイザーには錚々たるメンバーを揃え、法令遵守への姿勢を示している。経済学者で東京大学名誉教授の伊藤元重、元財務事務次官の佐藤慎一、金融庁で金融商品取引法の立案を主導した弁護士の松尾直彦などだ。

年々、市場規模が大きくなっているとはいえ、アメリカや中国に比べるとまだまだ国内の市場は小さい。アメリカや中国に追いつくためにも、藤田は事業者が法令遵守を徹底し、投資家の信頼を得ることがまずは大切だと考えている。そのほか、課税制度の改正に向け、業界全体で働きかけを行っていきたいという。

「我々の世代は、老後資金を自助努力で賄わないとならない可能性がある。資産運用の重要性は、政府も指摘しているがハードルが高い。現在のLINEのようにFundsを誰もが気軽に使える国民的な資産運用サービスにしていきたい」(藤田)

文・写真=本多カツヒロ

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