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2019.08.06

米国で2桁成長の植物由来食品 売れる理由は「陳列場所」にあった

(Noel Hendrickson / Getty images)

肉や海産食品、牛乳などの乳製品を代替する植物由来製品の売り上げは、今年も10%を超える成長を見せている。大小かかわらずあらゆる企業は、より牛肉に近い植物由来バーガーの開発や前世代のビーガンチーズの改良、乳製品不使用アイスの新たな味の発売に取り組んできた。

グッド・フード・インスティテュート(GFI)とプラントベースドフード協会(PBFA)が市場調査会社のスピンズ(SPINS)に委託し発表した報告書によると、米国での植物由来食品の売り上げは過去1年間で11.3%成長した。それに対し、全食品売り上げの成長幅は2%だ。植物由来食品の売り上げは、2017年4月~2019年4月までの2年間で31.3%アップし、総額は約45億ドル(約4800億円)になった。

植物由来食品の売り上げが急増したことは、普通の消費者でも動物由来食品の代替商品をより多く求めるようになっていることを示す最新の例だ。そして多くの場合、小売企業はこうした商品が楽に見つかるよう支援している。

米国の消費者は、過去1年間で植物由来のミルクに約19億ドル(約2000億円)を費やし、ミルクは植物由来商品カテゴリーで最大の売り上げを誇る分野になった。植物性ミルクの近年の売り上げ増加はいくつかの要素によるものだ。その一つは、植物由来ミルクを乳製品の販売場所と異なる場所に陳列するのをやめ、乳製品販売エリアに移す食料品店が増えていることにある。

シリアルにかけたりコーヒーに入れたりするミルクを探す買い物客は現在、大豆やアーモンド、オート麦などの植物由来の代替ミルクを目にする機会がある。植物由来ミルクの陳列場所を変えることで、多くの買い物客は、ベジタリアン・ビーガンのセクションで販売されていたらわざわざ探し求めなかったような新たな商品を試すようになった。

GFIの企業エンゲージメント部副部長のキャロライン・ブッシュネルは「現在の植物由来食品と、10年前の自然・有機食品の間には一般的に多くの類似点がある」と述べている。

ブッシュネルによると10年前、小売企業は自然・有機商品を従来の商品の販売場所と同じエリアに並べることで、より多くの買い物客が商品を見つけることができ、売り上げが伸びることに気が付いた。「現在では、ほぼ全ての主要な小売業者が自然・有機商品を従来型商品と同じ通路に並べている」という。

植物由来の牛乳代替飲料の知名度が向上したことで、消費者は他カテゴリーでも従来型乳製品の代わりとなる商品を試すようになった。「アーモンドミルクやココナッツミルクに慣れた消費者は『植物由来のチーズも試してみよう』と言うようになる」とブッシュネル。「消費者の乳製品カテゴリーに対する考えを再構築し、乳製品には植物から作られた代替商品があること、カシューナッツから作ったチーズ代替商品は本当においしいことを示すことが役に立っている」
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翻訳・編集=出田静

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