ビジネス

2019.08.06 10:00

1%の真実を見つけ出し、ストーリーの力で周りで人を動かす|GROOVE X 林 要


重要なのは人を動かす「ストーリー」

次に大事なのが「ストーリーの力」です。「非常識な真実」を見つけたとして、それを人に伝えられなければ、想いを表現するアーティストとして発見してもらう事を祈るしかない。でもビジネスにしたいんだったら、発見してもらうのは待てません。どうしても必要な時に必要な人の協力が必要になります。ビジネスにするための谷を越えることは、自分一人だけではなかなかできないんです。

しかし、言いっぱなしで人が理解してくれるのを待つ、というのはビジネスとしては非常に不確実です。人に理解してもらいたい時の打ち手としては、データで証明する等もあると思うんですが、人はデータだけでも動いてくれないものです。

では、どういう時に人は動いてくれるかというと、伝えたいことが「ストーリー」になっているときなんですね。ストーリーを聞いて初めて、人は動いてくれると私は思っています。

これは何故かというと、人間の認知の仕組みが「エピソード記憶」と呼ばれる、あらゆる情報をストーリーに関連づけて処理したり記憶したりする方法に基づいているからなんです。ですから相手に印象づけられるようなエピソードにそって説明できるかが認知の成否を左右するわけです。そんなストーリーを作れること、これが「ストーリーの力」です。

人を動かすストーリーに落とし込める力がつくと次に何が起きるかというと、リソースと体制が整うようになります。「ストーリーの力」によってお金も人もついてくる。リソースが集まればビジネスを推進していくための体制も作ることができます。

ですから、起業家に必要な素養は順番に「『非常識な真実』を発見できること」、次にそれを「説明できる『ストーリーの力』があること」、最後に「リソースを集め体制を整える『実行力』があること」という順番になると思います。

──なるほど。ちなみに、実行力があっても壁にぶつかって折れてしまう起業家も多いのではないかと思うのですが、壁を乗り越えるためにはどうしたらよいのでしょうか?

そこはストーリーの力によるんじゃないかと思います。

「やってやるぞ!」という熱意も大事なんですが、「壁にぶつかって折れてしまう起業家」というのは、熱意だけじゃどうにもならなかった、という事ですよね。それは協力してくれる人に分かってもらえないとダメなのだと思います。またその手前に、「非常識な真実」を発見できているかどうかも大事です。自分がやろうとしていることが本質的に大事なことなのか、またそれを上手く相手に伝えることができているかを常に自問自答することが大切だと思います。

※本記事は2017年6月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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