今回のシリーズC資金調達はサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が主導し、バビロンヘルスの企業価値は20億ドルとされた。バビロンの累計資金調達額は6億3500万ドル(約677億円)に達した。
同社は今回の調達資金で米国やアジア地域で新たな市場を開拓する。バビロンのAIヘルスプラットフォームは現在、世界430万人に利用されている。今回の出資には、ドイツの再保険を中心とした保険サービス企業Munich Reや米国の匿名の保険企業も参加した。
バビロンのサービスは医療コストを削減することが可能で、NHS(英国の国民保険サービス)とも契約を結び、従来は医師が家庭を訪問して行っていた診断を、アプリやチャットボットを活用したものに置き換えている。ただし、急速な進化を遂げたバビロンの技術には信頼性の面での懸念が浮上している。
バビロンの元社員らは、同社が導入を急ぎすぎたため、十分な検証がおろそかになっていると昨年12月のフォーブスのインタビューで指摘した。バビロン側はこの報道を否定し、ソフトウェアは十分な臨床試験を経ていると主張した。
その後、バビロンのシステムがメンタルヘルスの診療で、不適切な処置を行ったとの批判も浴びたが、バビロン側は問題の原因はNHSのシステムに起因していると反論した。
しかし、これらの問題もバビロンの勢いをそぐことにはならなかった。イラン生まれの元銀行員のAli ParsaがCEOを務めるバビロンは、今回の調達と同時にプルデンシャル生命保険やサムスンとも契約を結んだ。バビロンは現在、1日あたり4000件の医療診断を行っているという。
「当社のテクノロジーはまだ発展段階にある」とParsaは声明で述べた。「ヘルスケア領域では世界の様々な国のニーズに合わせ、ローカライズを行うことが必要だ」とParsaは続けた。