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実際に、統一地方選挙に向けた政治活動で開発したシステムを使ってくれた候補者もいましたが、当時多くの候補者はITを使いこなせないため、スケールはしないと思い、ビジネス化は諦めました。そこで感じたのは、「これから先、インターネットをはじめとするデジタルテクノロジーが世界を変えていくにも関わらず、国民の代表である議員がITを使いこなせなくてよいのだろうか」ということです。

社会のために、政治の世界とデジタルテクノロジーの可能性を知る自分だからこそできることをしなければと、28歳の時に一般社団法人ユースデモクラシー推進機構(YDPA)を立ち上げました。85年生まれ以降のデジタル・ネイティブを中心に、「若者と未来世代のための政治」の実現を掲げ、活動しています。

設立当初は、20代を中心とした地方議員たちにフェイスブックでメッセージを送り、60人くらいと会って連携することから始めました。その後、議員をゆるく繋げつつ、公共領域に関心のある人たちも含めたネットワークを構築し、政策やテクノロジーについてディスカッションできる場を提供しています。

そして、仲間から首長も誕生しました。地方では急進的な変化に壁もありますが、徐々にインターネットを駆使した新しい政治家のスタイルが生まれるでしょう。

議員だけではなく、一般市民にフォーカスした学びの場づくりもしています。昨年、IT立国で有名なエストニアに視察しに行ったのですが、市民がデータの所有権を持つ「データオーナーシップ」などの概念が浸透していて、政府が極めて透明で民間企業のように感じました。日本の管理意識とはまったく違います。

現在、そこで学び感じたことを踏まえつつ、デジタル時代の民主主義「e-Democracy」を考えるきっかけとして、エストニアのデジタルを活用した社会制度を実感できるような勉強会を開いています。また、評論だけでは説得力に乏しいので、今後、実際にエストニアを拠点としたビジネスに関わることも検討しています。

「自分たちで政治家を育てよう」

日本では、2015年から選挙権年齢が18歳に引き下げられたことが一つの社会の大きな変化でした。ですが、1970年代の学生運動をきっかけに、政治活動に関与してこなかった学校が急に変わるはずもありません。また、学校での主権者教育にも限界があるため、私たちのような草の根組織が、それぞれのやり方で若い世代に主権者のあるべき姿を提示していくことが鍵になるでしょう。

私は、選挙での政治家と有権者の関係をポケモンに例えることがあります。投票する際には「自分だったらどうするか」と考え、政治家を育てるような意識がなければ、政治家のレベルもなかなか上がりません。つまり、政治家と有権者は、ポケモンとトレーナーと同じ関係性なのです。

ポケモンを強くするためには愛情が必要です。日本では、「政治家に期待してもダメだよね」と諦め、対立するベクトルがありますが、これからはもっと、有権者のスタンスが変わっていくと良いと思います。

文=督あかり 写真=小田駿一

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