アフリカのフィンテック分野の投資額は2018年に、4倍近く伸び3億5700万ドル(約390億円)に達した。これはGSM Associationが発表したレポート「The Mobile Economy, Sub-Saharan Africa 2019」の数値だが、投資の多くはケニアやナイジェリア、南アフリカのスタートアップへに注がれている。
GSMAはアフリカがフィンテック分野のハブに成長すると述べている。アフリカ最大の通信キャリアMTNは先日、ナイジェリアでフィンテックサービスの認可を受けたとアナウンスした。MTNは今後、現地でフィンテック事業を拡大させていく。
MTNのCEOのRob Shuterは筆者の取材に以前、「MTNを今後、アフリカ最大のモバイル金融サービス企業に成長させたい」と述べていた。一方で、ナイジェリアのスタートアップ企業3社、KudiとOneFi 、TeamAptらもそれぞれ、今年に入り約500万ドルを調達している。
イーベイ創業者のピエール・オミダイアが設立したオミダイア・ネットワークから生まれたファンド「Flourish」の主任を務めるAmeya Upadhyayは「全てのモバイルアプリは今後、フィンテック分野に進出する」と語る。
ベイン・アンド・カンパニー出身でFlourishのアフリカ投資部門を率いるUpadhyayは、モバイルの通話アプリとフィンテックは緊密に結びついてると話す。彼は今年、ルワンダで開催されたMobile 360 Africa カンファレンスの場で、9億人が使うWeChatが世界最大の決済アプリになったことを引き合いに出し、「ケニアでワッツアップと並び最も利用されているのが、決済アプリのM-Pesaだ。人々はスマホでの会話と並行して、送金や支払いを行っている」と話した。
MTNは今年、ワッツアップ経由でデータ通信プランを購入できるサービスを立ち上げた。アフリカのフィンテック分野の企業数は2017年の301社から、491社まで増加したとのデータもある。
「アフリカ大陸には銀行口座を持てない人も多く、伝統的な金融サービス企業が市場に参入できていない。この分野のスタートアップには、巨大なポテンシャルがある」とDisrupt Africaの共同創業者のTom Jacksonは話した。