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2019.08.04

世界でヒット、韓国に続け。2019年は「日本コスメの年」に

「2018年、韓国化粧品ブームが世界を席巻しました。19年は日本化粧品の年にしませんか」 

19年5月上旬、約1万人が集まった米化粧品化学者協会主催の大型イベントで、高橋クロエは壇上からそう呼びかけた。25分のプレゼンテーションが終わった後、各国メディアから質問が相次いだ。
 
高橋は、日本化粧品に特化したEコマースサイト「Cosme Hunt」を18年に設立。サンフランシスコを拠点に日本化粧品の魅力を伝える「伝道師」としても活躍する。

化粧品の紹介サイトを立ち上げたのは、高橋自らが海外生活で化粧品に困ったからだ。14年に25歳でカナダに渡り数年前に米国移住したが、「日本より乾燥した気候で、日本人の自分の肌に合う化粧品が身近に見つけられませんでした」。

日本の化粧品で、北米市場に出回っていたのは高級化粧品がほとんど。ドラッグストアなどで売られている安価な「プチプラ」商品は手に入らない。一方、韓国化粧品は、海外市場とミレニアル世代を意識したマーケティングで存在感を出し、世界的なブームになりつつあった。

韓国のブームで日本化粧品にも問い合わせが増加。日本の「プチプラ」化粧品もマーケティング次第で、海外のミレニアル世代に受け入れられるはず、と高橋は考えた。

Cosme Huntはミレニアル世代を意識した商品ラインナップと、動画やSNSによる双方向コミュニケーションのコミュニティづくりに力を入れる。北米だけでなく、アジアからのアクセスも多いという。
 
高橋のもとには、日本のトレンド情報が欲しい欧米の大手メーカーや、北米市場進出を狙う日系メーカーからも相談が来るようになった。 「日本の化粧品の素晴らしさを世界中に届けたい」。ブームが来る日は遠くないと高橋は信じている。


たかはし・くろえ◎1989年、横浜市生まれ。大学卒業後、広告会社の営業職などを経て、2014年にアクセラレータのYCombinatorが出資する米サンフランシスコのプロダクト・プログラミング・スクール「Make School」に入学。18年に米国でCosme Huntを設立。

文=成相通子 写真=クレイグ・リー

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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