「壊れた資本主義」を修正する米国ミレニアル世代

最年少のNY女性市議でミレニアルの代表格と目されるオカシオ=コルテス(29)


一方、ミレニアル世代が左派に寄っているというのは一面的な見方であり、同世代の白人男性では、民主党支持が50%弱から33%に減り、トランプ支持層に流れている。しかし、行き過ぎた自由主義経済への反動という意味では、保護主義も同様の動きといえる。

イノベーションによる極度の効率化が進み、資本集約は先進国の都市や大卒以上の高学歴組でも進んだ。データが資本となり巨大テック企業が市場で大きな力を持つ現在、ポスト資本主義をどのように形成していくのかというのは世界の課題である。

米ミレニアル世代の87%がビジネスの成功はお金ではなく、世界にいかにインパクトを与えたかで測られるべきと考えている。ビジネスの担い手であり、最大の購買層であるミレニアルが公の利益を少なくとも「カッコいい」と思っていることは、資本主義とソーシャル・グッドを両立する上で、大きな力といえる。

翻って日本を見ると、米国や中国に比べて格差拡大の伸び率は低く、国民皆保険制度などの観点から見ると米国ミレニアル世代の理想とする“社会主義国”だ。しかし、少子高齢化(米国のミレニアルが人口の約30%に対し日本は約20%)により、システムの維持自体が困難である。AIやテクノロジーを利用して、いかにシステムを効率化し、現役世代の負担を減らしていくか、ということが課題となる。

それぞれの国の異なる歴史と課題のもと、独自の方法でいかに資本主義とソーシャル・グッドを両立していくか、が求められている。

文=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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