──インタビューではどのようなことを聞かれたのでしょうか?
「本音」を聞き出すことに注力しています。人は、役員会議などでは決して本音は言いませんよね。一対一で、外部の人にだからこそ言えることがあります。現在働いている人だけではありません。過去に働いていた人や、また今まさに辞めようとしている人からはとても興味深い話が聞けます。
私の興味を引いたのは、マネジメントスタイルについてです。マネジメントスタイルは、ブランドに大きな影響を与えます。異論の余地を挟まない軍隊形式に厳しくすることもできれば、様々な意見を聞く、自由な形式にすることもできます。
もちろんリーダーは意見を受け入れる必要はありません。学ぶだけです。この2つの違いは、全く別のブランドを生み出すことになります。多くの場合、社員を意思決定プロセスに参加させるとき、彼らは自身をブランドの一部とみなすからです。
──ブランディングの観点から、日本のCEOへのアドバイスはありますか?
「オフィスを出ろ」ということです。
例えば、サムソンの躍進は、創業者で当時社長の 李秉喆 (イ・ビョンチョル)が海外出張の際に、世界の家電ストアをくまなく見て回り、店頭の目立つところには全てソニー製品が置かれており、サムソンの製品は重要なブランドとみなされていないために、倉庫やラックの下に置かれていたことを目の前にして衝撃を受け、出張先に急遽マネジメントチームを呼び寄せてミーティングをしたことから始まったと言われています。
また、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOは実際にコールセンターで電話を受け、まさか電話口に社長が出ていると思っていない顧客の声に耳を傾けることによって、全く異なる観点を得ました。
良いブランドを築くには、誰よりも顧客を知り、誰よりも顧客に近づき、誰よりも感情的に顧客とつながることが求められます。
今すぐ社長室を出て、一消費者になることをお勧めします。