自動車メーカーが激しい競争を繰り広げるアメリカで、トランプ政権とカリフォルニア州の、排ガス規制をめぐる強烈な「親子喧嘩」に巻き込まれ、自動車業界がいま真っぷたつに割れている。
ロイター通信によると、アメリカで新車販売の最大地区であるカリフォルニア州(全米の自動車販売で12%のシェアを占める)が、2026年以降の新車を対象として新たな排ガス規制を独自に打ち出し、自動車メーカーは、連邦規制とどのように整合性を保つのか困惑していた。
このカリフォルニア州の新たな規制については、連邦政府と州政府の間で調整交渉が続いていた。しかし、州政府側が強硬姿勢を崩さず、トランプ大統領との間で非難合戦が激しくなり、ホワイトハウスはカリフォルニア州との交渉を2月に打ち切っていた。
まさかこんなことで連邦政府とカリフォルニア州の協議が決裂するとは誰も予想していなかった自動車業界は、今年、6月に「投資が阻害される」として、メーカー17社が団結して、トランプ大統領に対してカリフォルニア州との協議再開を求める嘆願書を提出していた。
自動車の業界団体は、カリフォルニア州知事に対しても連邦政府との交渉を嘆願していたが、とうとう再開は絶望的だと判断され、ホンダ、フォード、BMW、フォルクスワーゲンの4社は、個別にカリフォルニア州と合意契約を結び、州独自の新排ガス規制を受け入れるに至ったと報じられている。
揺らぐオバマ政権が残した遺産
トランプ政権は直ちにカリフォルニア州に対する非難声明を出し、環境省のスポークスマン、マイケル・アブード氏も、この自主的な4社の契約行為は「自社PRのための独善プレイだ」と非難した。そして、連邦政府は、50州共通した排ガス規制こそが自動車メーカーのためであるという姿勢を崩さず、「カリフォルニア州は無責任で非常識だ」と手厳しい。
排ガス規制については、環境政策にことさら重きを置いていたオバマ政権の頃から業界は揺らいでいた。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、オバマの残した遺産として、2026年までに1ガロンあたり46.7マイルの燃費(1リットルあたり20.3キロ)を実現しない車は新車として売れないという規制が残されていた。
しかし、トランプ政権は、これでは経済成長に対する不利益が強く、投資を呼べないとして、これを37マイル(1リットルあたり16.1キロ)のレベルにまで落とすことを提案していた。