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2019.08.01

女性の美意識をくすぐる フランスの宝石「DS3クロスバック」

DS3クロスバック


さて、性能と走りの話に移ることにする。この車は「コモン・モジュラー・プラットフォーム(CMP)」というフランスのPSAグループがおもにBセグメント用に開発した最新アーキテクチャーを最初に採用したモデルだ。

そのプラットフォームのおかげで、直進安定性は優れているし、ちょうど良い重さのステアリングで、ターンインしたコーナーでもロールせず、フラット感を保つ。または不思議なことに、デザイン重視にも関わらず、意外と360度の視認性が良い。

ブレーキペダルの剛性感や効き方も十分と言える。フロア回りの振動やロードノイズをほとんど伝わってこない優れた静粛性で、乗り心地が柔らかすぎず固すぎず長距離クルージングに適している。



エンジンは130psの1.2リッターの3気筒ターボと聞くと、パワー不足だと思いがちだけど、決してそんなことはない。DS3は車種1.3トン弱という軽さと、シフトが素早くて気持ちのいい8速A/Tと組み合わされているので、加速感はのびのびと感じられる。

しかし、正直なところ、例えば4人の大人と荷物をのせたまま上り坂を走ろうとすると、特に低速トルクはもう少し欲しいと思う人もいるだろう。

コンパクト・ラグジュアリーSUV作りのアプローチがこれまでの標準と違って、意外だった点もいくつかある。まず、リアのハッチドアは電動式ではないし、運転席のアジャストも手動。そのアナログなフィーチャーに対して、キーレスエントリーがとてもハイテク。これにかなり力を入れているところがおもしろい。キーを持った人が半径2m以内に近づくと、自動的に4つのドアハンドルがせり出し、アンロックされる。また離れる時も自動的にロックされる。

また、ウィンドウのスイッチはドアに付いているのではなく、センターコンソールにあり、エアコンのスイッチもインパネの左側と、他のメーカーとはかなり違った。

とはいえ、違うというのは、言い方を変えればこだわっているということだ。つまり、少し慣れが必要だが、そういうところが可愛いと思う人、特に女性ユーザーが多いらしい。

今回、試乗したDS3クロスバックGrand Chic仕様は404万円。ライバルのアウディQ2が405万円であることを考えると、鋭い設定だろう。一部気になる部分もあるが、性能、技術、走り、フランスならではの高いファッションセンスは、DS3クロスバックに軍配があがる。

連載:国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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