ビジネス

2019.08.01

「NEW STANDARD」となった僕らが考えるメディアと広告の現在地

NEW STANDARD 執行役員の平井孝昌(左)と代表取締役の久志尚太郎(右)


──ムーブメントの具体的な定義はなんでしょうか。

久志:僕たちのライフスタイルに新しく定着するものをムーブメントの指標としています。短期的なブームやトレンドをつくることではなく、「新しいライフスタイルとして定着する」ところまでの成長過程をドライブさせることが大切だと考えています。

熱狂があるところから外に波及していくという、スタートアップの事業のような広がり方が、広告領域でも同様に起きています。僕らはその熱狂を起点とした段階的な広がり方をフレームワーク化し、プロモーションやコミュニケーションに活用してきました。既存のテレビを軸としたプロモーションやマーケティングファネルとは真逆の「コミュニケーションメソドロジー」です。

──顧客のマーケティングとどう関係するのでしょうか。

平井:私たちは、検索や投稿などデジタル上の行動分析によってムーブメントはデータ化でき、そのデータこそ、ブランドにとって必要なコンテクストや方向性を指し示してくれると考えてきました。これは自分にとって、クリエイティビティの源泉でもあります。データドリブンという言い方もありますが、データにインスピレーションを受けるクリエイティブが今後、重要になっていくだろうと思います。

僕はもともと広告業界で、デジタル領域のコミュニケーションに携わっており、その後クリエイティブディレクターも務めてきました。16年からデジタル領域が社会の中心になりつつあるのを感じて、デジタル領域に戻りました。統合的に設計する中で、社会のコンテクストはデータ化できるかもしれないという自信が持ててきました。

しかし、データによる「新しいマーケティングを作る」というビジョンを描く中で、従来の広告会社が持っているデータは、一般的なデータに限定されており、新しく起きているムーブメントの源泉を発見するには十分ではないと感じました。

その時に、NEW STANDARDという会社自身が持っている、「何か新しいことを作り出していくんだ」という熱量と関わっていく中で、ムーブメントの源泉には熱狂があり、それを起点とした新しいマーケティング手法を確立できる、と確信しました。そして、メディア運営していることによって蓄積されている読者のインサイトやコンテクストこそが、ムーブメントの源泉を発見するために必要なデータであると気づきました。
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構成=フォーブスジャパン編集部 写真=小田駿一

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