テクノロジー

2019.08.01 10:30

テック系ジャーナリストが「シード向けVC」に参画を決めた理由


例えば、自社メディアで「初めてVCに会う起業家がやりがちな、3つの間違い」や「VCについて、起業家が理解しておくべきこと」といった記事に加え、起業家調査アンケート「Japan Startup Landscape -2019SPRING-」など、起業家や投資家のための情報を積極的に発信している。

この取り組みについて、澤山は「半分の目的はコンテンツマーケティングですが、もう半分はスタートアップ業界に対して貢献したい気持ちからやっている」と語って上で、さらに意図をこう説明する。

「今から3年半ほど前にジェームズと500 Startups Japanを立ち上げた頃から感じていた課題は、まだまだ日本には起業家向けの情報が少ないということ。ここ数年、資金調達環境が整ってきたことで起業家のインタビュー記事は増えていますが、立ち上げ初期の起業家が困ることを解決する情報は全然ない。そうした状況を改善するために、ブログやSNSを通して起業家や投資家のための情報提供を積極的に行ってきたんです」

この取り組みはコーラルキャピタルになってから加速。ファンドの規模も大きくなったことで、よりコンテンツ投資を行うようになった。現在、フリーランスのライターたちと協力しながら記事を制作し、1日1本のペースで記事を公開している。

これまでを振り返り、「一定の土台はできたと思う」と澤山は手応えを感じる一方、こんなことも口にする。

「とはいえ、今までは自分とジェームズが手探りでやってきただけ。より記事の質を高め、より起業家、投資家のためになる情報を発信していくためには経験のある人の存在が必要だと思ったんです」(澤山)

そこで白羽の矢が立ったのが、TechCrunch Japanで数多くの起業家に取材するなど、メディア側から一貫してスタートアップエコシステムを見続けてきた西村だった。
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文=新國翔大

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