産後の安定的生活として、「産後院」という選択もあります。例えば、台湾には、出産の終えた身体を1カ月間休ませる「坐月子(ぞーゆえず)」という文化があります。
台湾で出産した卓球選手の福原愛さんは、自身のブログに、「ホテルのような施設で旦那さんも同じお部屋に宿泊できて、24時間いつでも内線電話で些細なことでも対応してくださいます。赤ちゃんに対して授乳やおむつ替え、おしりの洗い方や沐浴、鼻のおそうじやベビーマッサージ、体調チェックの仕方など細かい部分までケアしてくださり、こちらができるようになるまで教えてくれました」と書いています。
その他、館内にはベビールームがあり、もし母親が疲れたら赤ちゃんを預けてゆっくり休むこともできるようです。食事は1日6食(3食+間食でお粥やスープ)あり、漢方中心の食事。産後の子宮の戻りをよくしたり、抜け毛を防止したり、母乳の出をよくするプログラムなどもあるといいます。
「1カ月間しっかりと休み、たくさん勉強させていただいたお陰で、ほんの少しだけ自信をもって自宅に帰ってくることができました」と福原さんは記しています。
日本でも、この産後院が注目されはじめているようですが、台湾の例に匹敵するものは数少なく、1カ月間といった使われ方もまれのようです。
筆者も、これに似た産後院を探してショートステイしましたが、とても助かりました。もちろんお金はかかりますが、母親が充分に休めるメリットは大きいです。
この話をある医師にしてみると、「ブランド病院で出産しても、産後院やシッターや産後ドゥーラにはケチという旦那さんが多い」と語ります。実際、筆者が利用した産後院も、中国系や韓国系の人が多いと感じました。日本の夫たちは「産後ケチ」にならず、産後にこそお金を使うことをお勧めします。
なお、妻がロンドンで出産した友人によれば、現地では病院に産後院の機能とサービスが付いていて、退院のタイミングも母親が選べるといいます。また、日本の病院のように母子同室主義ではなく、母親が休めるように赤ちゃんを預かってくれますし、しかも基本的に無料だとか。日本も海外の良いところは真似していきたいものです。
連載:ドクター本荘の「垣根を超える力」
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