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(Photo by Chesnot/Getty Images)

動画アプリTikTokの運営元として知られる中国のバイトダンスは先日、スマートフォンの製造に乗り出すと報じられた。しかし、米国の消費者が同社のスマホを手にする見込みは薄い。

バイトダンスの広報担当はフォーブスの取材に対し、同社のハードウェア事業に関して誤った情報が流れていると話した。「当社はハードウェア製造に関して現在、傘下のSmartisan(錘子科技)と調整を進めているが、市場としては中国国内を想定している」と担当者は述べた。

つまり、バイトダンスは今のところサムスンやアップルと競合する意志はないことになる。同社が今年買収したSmartisanは、ファーウェイやシャオミ、OpooやVivoなどの大手メーカーが取りこぼした市場を狙う、中国の小規模メーカーの1社だ。

しかし、Smartisanはニッチな市場を狙うメーカーでありながら独自の存在感を誇り、昨年5月には世界初の1TBのストレージを持つ端末を発売し話題を呼んだ。2012年に同社を設立した、元英語教師の羅永浩(Luo Yonghao)はカリスマ的人気を誇り、彼がプレゼンを行う新商品発表会は、チケットが有料で販売されるほどだ。

バイトダンスがスマホ事業への進出を図る背景には、同社の野心的な姿勢がある。ニュースアプリのToutiaoで中国市場を抑えた同社は、メッセージアプリのFlipchatや複数の音楽ストリーミングアプリも立ち上げ、事業領域を拡大しようとしている。さらに、今年1月にはスナップチャットを模倣したアプリのDuoshanを立ち上げていた。

バイトダンスの名を西側にまで轟かせた動画アプリ、TikTokは世界で5億人以上のユーザーを獲得した。2016年に中国で始動したTikTokは、2017年9月に国際版の配信を開始。調査企業ComScoreのデータで、TikTokの米国におけるユニークビジター数は月間1億4300万人に達している。

米国人の間では現在、中国企業のアプリの利用が広がっている。調査企業Sensor Towerによると、中国製のアプリが米国で生み出す売上は、今年第1四半期に6億7480万ドル(約730億円)に達したという。この数値は前年同期比で67%の上昇となっていた。

ただし、米国においてTikTokの人気が浸透したとはいえ、米国の大手テック企業のアプリと比べるとその存在感はさほど大きくはない。米国の成人の69%がフェイスブックを利用し、22%がツイッターを利用中とのデータもある。

狙いは「ニッチ市場の開拓」か?

一方で、大手テック企業がハードウェア事業に乗り込んだ結果、失敗した事例も多い。アマゾンは2014年にモバイル端末のFire Phoneをリリースしたが、評価は散々で、1年で撤退した。フェイスブックも2013年にFacebook Homeを搭載したHTC製端末のFirstをリリースしたが、立ち上げから1カ月でプロジェクトを停止していた。

一方で、グーグルは2013年に自社ブランドのスマートフォンをリリースして以降、徐々にブランドを確立し、一定の評価を得るようになった。しかし、それでもグーグルのPixelのシェアは北米のスマホ市場でわずか2.31%にとどまっている。

バイトダンスがグーグルと同じ、ニッチな市場での成功を再現できるかどうかは、まだ分からない。しかし、たとえ小さな規模であったとしても、同社が中国で一定のシェアを築くことに自信を抱いている事は明白だ。

編集=上田裕資

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