parkERsは、青山フラワーマーケットの店舗デザインを手がけているデザイナーを中心に立ち上げた、室内緑化などを手がける特殊な集団。そのノウハウを自社だけに閉じ込めるのではなく、もっと外部のオフィスやマンション、公共の場など、あらゆる場に活かしていこうという想いで始めました。
そのきっかけとなったのは、「包まれ感」をキーワードにデザインした、パーク・コーポレーションの本社です。それまで、いわゆる”オフィスのグリーン”というのは、観葉植物のリース屋さんが持ってきて、一定の場所に置いていくスタイルが主流。すると、造花なのか本物なのかわからないまま、ただそこに置いてあるだけの存在になるんです。
そうじゃなくて、上からも横からも、下からも、森で味わえるような植物の自然な動きで「包まれる」感じを味わえる。そんな空間にしてほしいと社内デザイナーへオーダーし、形となったのが現在の本社で、「室内に公園を」というコンセプトが初めて具現化された場所です。
その後、弊社を訪れる人から「ぜひ我が社にも、このような空間を作ってほしい」という声が、一人、二人、三人四人と増えて、空間デザインをメインとするブランド、parkERsの立ち上げに至りました。
parkERsの代表的なデザイン。青山フラワーマーケット ティーハウス南青山本店。世界中からこの空間を感じるために多くの人が集まる。
そもそも、パーク・コーポレーションという会社名も「公園のような楽しく幸せな会社をつくりたい」という想いからです。でも、屋外に公園を作ろうと思っても、都市部の場合は土地もない。であれば、技術を用いて公園の気持ちよさを室内に届けよう、と。
人工的な空間ではストレスがかかる
最近、都会にいていつも思うのは、もし景色を撮ってモノクロで拡大コピーをしたら、ほとんどが定規とコンパスがあれば描けるような世界になっている。皆さんも周りを見てみてもらえるとわかると思いますが、天井を見ても、壁を見ても、ほとんどが直線で構成されているし、たとえばコップにしても、電球にしても、身近にある曲線も、コンパスで描いたようなきれいなラインでできています。
人にとってそれは心地がよい環境なのかと考えると、実は逆。人が原始時代にどんな場所に住んでいたか振り返れば、それは、一本の直線も綺麗な曲線もない世界でした。今の都会は真逆といえるかもしれません。
糸くずでも紐でも、自然な状態に置けば直線にはならないし、きれいな円形にもなりません。直線についてはピンとストレスを張ってできるラインのはずだし、まんまるというのは中からプレッシャーをかけて、内から圧力をかけてできる形態であって、自然界ではありえない形状。つまり、ストレスなどをかけないとできない線であって、実は都会の生活者というのは、無意識のうちにストレスにさらされているのだと思います。