ストラスブール残留の36歳川島永嗣 複数年契約の快挙を勝ち取った「ぶれない生き様」

川島永嗣(Anadolu Agency / Getty Images)


「いままでやってきたすべてを、自分自身がゴール前で見せることが一番だと思う。日本代表という場所に呼ばれている以上は、まずは自分が選手としてアピールすることは変わらない。そのうえで自分が経験してきたことを、周囲へのプラスアルファに変えていければいいのかな、と」

どんな状況に対しても常にポジティブに向き合ってきたからこそ、急に出番が訪れても動じないし、いつも通りの力を発揮することができる。チームにとってこれほど頼もしい存在はいないし、その一挙手一投足は若手選手たちにとっての最高の羅針盤となる。ぶれない生き様に魅せられたからこそ、ストラスブールも3つしかない外国人枠のひとつを迷うことなく川島に託した。

今夏にはJ1のヴィッセル神戸が、川島の獲得に動いたと報じられた。それでも、ヨーロッパで10シーズン目となる挑戦を決意した意義はどこにあるのか。川島はオフィシャルブログで「今までも、これからも葛藤し続けながら答えを見つけていく事なのかもしれません」と綴っている。

「何より挑戦する事が目的ではなく、1%の可能がある限り、事を成す、ことが目的だということ。今までも周りから見れば無謀な挑戦をしてきたかもしれません。そしてまた、無謀な挑戦をしようとしています(笑)。でも1%の可能を自分の手から手放す事は僕にはできません」(原文のまま)

文中で言及された「可能」とは、ヨーロッパの舞台でゴールキーパーとして成功を収めるという初志であり、もっともっと高いレベルでプレーするという夢が対象となる。その過程で日本代表に招集されれば、もちろん気持ちも新たにポジション争いに加わる。

今年1月に権田修一がサガン鳥栖からポルティモネンセSCへ、今夏にはシュミット・ダニエルがベガルタ仙台からシントトロイデンVVへ移籍。日本代表に名前を連ねたゴールキーパーが海外へ挑むなかで、先駆者である川島ははるか前を、日本人にとって未踏の領域を全力で突っ走っていく。

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文=藤江直人

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