ストラスブール残留の36歳川島永嗣 複数年契約の快挙を勝ち取った「ぶれない生き様」

川島永嗣(Anadolu Agency / Getty Images)


そして、南アフリカ大会後に正式にキャプテンを拝命した長谷部と、ヨーロッパ組の仲間入りを果たした川島はその後も日の丸を背負いながら太く、強い絆を育んでいく。昨夏のロシア大会後に長谷部が表明した日本代表からの引退も、直前に長谷部から川島へ個人的に伝えられていた。

チェルシー戦の翌日に川島と長谷部のインスタグラムへ投稿された文面を見れば、日本代表やヨーロッパでの戦いを介して、2人が共有してきた喜怒哀楽ぶりが伝わってくる。

「昨日は絶好調おじいちゃんにいいものを見せてもらいました!」

ひとつ年下の長谷部を川島が「おじいちゃん」といじれば、長谷部は1-1で引き分けた試合後に川島と会ったことを明かしながらこう綴っている。

「#久しぶりだったけど #久しぶりの感覚が無いのは何故だろう #あいも変わらず元気でした」

培ってきた濃密な経験を東京オリンピック世代へ

そして、3週間後の現地時間5月24日に、川島はピッチの上でも元気な姿を見せる。ハリルホジッチ監督に率いられるFCナントとのリーグ・アン最終節。先発してストラスブールでの初出場を果たした川島は1-0の痺れる勝利に貢献して、シーズンを通して積み重ねてきた努力の跡を証明した。


Eddy Lemaistre / Getty Images

ロシア大会以来となる復帰を果たした日本代表でも、変わらぬ存在感を放った。東京オリンピック世代を中心とする編成で臨んだコパ・アメリカ。初戦で4失点を喫した19歳の大迫敬介(サンフレッチェ広島)に代わってゴールマウスに立った川島は、ウルグアイ、エクアドル両代表と引き分け、決勝トーナメント進出へあと一歩と迫った若き代表を最後尾から鼓舞し続けた。

チームを率いる森保一監督からはプレーだけでなく、培ってきた濃密な経験を東京オリンピック世代へ伝える役割も期待された。もっとも、ただ単に言葉を並べるだけでは意味がない。大迫や22歳の小島亨介(大分トリニータ)と、ポジションを争うことが何よりも重要だと川島は力を込めている。
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文=藤江直人

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