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フォーブス ジャパン編集部 エディター


小泉:ソワレの監督をしてくれている外山文治さん自身、もともと自主映画から全部自分ひとりでやってきたんです。プロデュースから何から全部自分でやる。そうした中で監督自身も少しずつコンプライアンスみたいなことを考え始めちゃってるんだろうな、と。でも監督ってそういう忖度はいらないんじゃないのか。この作品でそういった考えからの脱却を計れたらと思っています。

俳優も監督も、これまでの常識に従っていないと仕事がもらえない、仕事にならない。そんな時代の中で、私たちは常識を壊し、新しいことに挑んでいった監督やプロデューサーがたくさんいた時代に育ったわけです。私たちはある意味、前の世代のバトンを託されている。

現代のいいところはたくさんある一方で、昔から脈々と受け継がれてきたいいこともある。両世代の間に立ち、橋渡しをできるのが私たちの世代だと思う。そこにちゃんと立ってあげたいと思ったのが、プロデューサーをやった意義かなという気はします。



昔がすべて良かったわけではないですが、失われつつある精神を取り戻したい。例えば、私たちが若い頃、監督にすごく叱られたりしたことがたくさんありました。ただ、なぜ叱られているのか。その理由は納得できて、実際に現場が終わった後、確実に自分の演技が成長したと実感できた。

そういう的確な指導、アドバイスができる大人は昔たくさんいたのですが、今はすごく少ない。豊原氏の演出で舞台のプロデュースを3本ほどやらせてもらったのですが、俳優としてのキャリア長いので的確にアドバイスが出来る。時には檄を飛ばすこともありますが、彼らはついてくるし、言われること自体がすごく嬉しいと感じているように思えます。

実際、舞台が終わった後に「こんな仕事がきました」「あのとき言われたことが役に立ちましたみたいなこと」を言ってくれる。そういうのを聞くと、熱意のある子たちは本気のぶつかり合いを求めているんだな、と思いますよね。

例えば、20年くらい前に相米慎二監督の映画『風花』の撮影時に、まだ20代だった浅野忠信さんが撮影前、撮影中、撮影後の三段階で意識が変わっていった姿を間近で目撃したのですが、彼にとって相米監督との出会いはとても大きかったのだろうな思いました。

豊原:そういった人に会えるのは役者として幸せですよね。初プロデュースは初めて知り得ること、困難の連続を思い知りながらの日々となることとは思いますが、覚悟を持って、私たちのやり方で精一杯がんばっていきたいと思います。そして、私たちの活動が一人ひとりのクリエイターにもっと多くの創造する機会、場所をつくり、色とりどりの新たな映画が生まれるきっかけになれば、と思います。

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<編集後記>
昨今、タレントと事務所の関係性を巡って揺れている日本の芸能界。奇しくも、2人に取材した日は2人の芸人による謝罪会見が行われた日だった。そんな日に豊原と小泉が語った、日本の芸能界、映画業界に対する思い。

黒船「ネットフリックス」の到来で窮地に追いやられている日本の映画業界だが、この2人が作る「遊び場」を通して自由に演技ができる俳優、女優が増えれば、再び活力を取り戻すのではないか。2人の発言からはそんなことを思わされた。

文=新國翔大、写真=小田駿一

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