ビジネス

2019.07.30 19:45

ストリーミングとリアルをつなぐ。スポティファイとイープラス提携の狙い

Gettyimages


──イープラスとの提携は、ユーザーはもちろん、アーティストにとってもライブ情報を多くの人に知ってもらえるといったメリットがある気がします。
advertisement

そうですね。これはファンのためではなく、アーティストのためでもあります。スポティファイを筆頭にストリーミングサービスが浸透したことで、今までよりも曲を聴く幅が広がったわけです。カジュアルに新しいアーティストを発見する可能性がすごく高い。

そうした状況の中、手軽にライブ情報を知ることができ、チケットをその場で購入できるようになれば、「じゃあ行ってみよう」という気持ちになる人を増やせるはずです。今まではファンの人しかライブに行かなかったと思いますが、今後は「行ってみよう」と思う人をライブに参加するようになる。

そのとき、メリットを受けるのはレジェンドアーティストではなく、今まさにひとりでも多くライブハウスに来て欲しいなと思っている人たち。我々はその人たちを支援したい、という思いが強いです。
advertisement

──やはり海外に比べて、日本のチケットシステムは遅れをとっている状況でしょうか?

海外に比べて、日本の方がいろいろな段階を踏まえてチケットを販売するので、少し複雑な面もあると思います。

例えばアメリカは、チケットの転売に関しても、転売自体のマーケットプレイスがある。それは高額転売ではなく、あくまでも定価同士での転売。ライブ当日に行けなくなってしまった人もいると思うので、当然行けなくなってしまった人のチケットは転売されるべき。その方がアーティストのためにもなります。

そういった仕組みも含めて、アメリカの方がシンプルにできるようになっているのかな、というイメージです。今回の提携で我々もそこに近づいていきたいな、と思っています。


(左)スポティファイジャパン代表取締役の玉木一郎 (右)イープラス代表取締役社長の倉見尚也

──今回の提携もそうですが、ストリーミングサービスの枠を超えて音楽業界をより良くしていきたい、という思いを感じます。

スポティファイは良くも悪くも“音楽のストリーミング一筋”の会社ですので、より音楽全体に貢献したい意識は強いです。なぜなら、そこが自分たちの生きる場であり、そこで音楽を好きな人たち、良い音楽をファンのためにつくっているアーティストたちを見据えて、両者がハッピーになれるようなことを考えていく。これが当たり前の結論として出てくるんです。
次ページ > 令和は「ストリーミング元年」になる

文=新國翔大

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事