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若いうちは、できるだけ「嫌なやつ」と付き合え

若いときにこそ、自分と違う価値観に触れるべき。あえて「嫌なやつ」と付き合ってみるのです。好きな人としか付き合おうとしない料理人も多いですが、異なる価値観を持った人間と意識して付き合うようにしないと、世界は決して広がらないでしょう。

その意味では、私はユニークな子ども時代を過ごしました。小学校5年生のときにいきなり大阪の親元から離され、東京の学校に転入。違う価値観の中に放り込まれました。私が父の跡を継ぐことは決まっていたものの、頼りなかったので、武者修行に出されたというわけです。

その翌年には海も渡りました。たった一人で、イギリスのプリマスにある外国人のための専門学校の寄宿舎に入ることになったのです。

英語漬けの生活は孤独でしたし、まあ苦労させられました。当時は日本人というだけで偏見を持たれ、何をやっても認めてもらえませんでしたからね。コンプレックスの塊のようになってしまい、認められたいという欲望に苛まれてばかりでした。

しかも、そのころの私にはコミュニケーション力があまりに不足していて、同級生と衝突すると、話し合いではなく喧嘩に発展させてばかりでした。

そんな苦々しい記憶があるからこそ、自分と違う価値観を持った人たちとどう向き合えばいいのか、どうすれば自分を認めてもらえるのか、そうしたコミュニケーション力の重要性を痛感しています。自分の好きな人、自分に似た人としか付き合ってこなかったら、いまほどそう思えていたかはわかりません。



だからこそ、そんな体験を経て教育者になったいま、海を渡ろうとする学生たちにこう檄(げき)を飛ばすのです。

「フランスに行くなら、フランス人には負けないという境地に達するまで帰ってくるな。とにかく、たくさん鼻をへし折られてこい」と。

違う価値観にさらされれば、ときには高くなった鼻をへし折られることもあるでしょう。

学生の中には、そうならないように上手に回避しようとする利口な者もいます。しかし、若いときには誰もが多かれ少なかれ挫折するもの。石橋をどんなに念入りに叩いても、絶対に一度は落ちてしまうものなのです。

だったら、何度も落ちて、落ちたときに這い上がれるように訓練しておいた方が得策。それは、己の対応力を強化することにもつながります。私は身をもってそのことを実感しました。

文=甘利美緒 写真=小田駿一

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