加入者急増中の「生前贈与機能付き保険」 贈与時に守るべきルールとは

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どうやら親の財産に相続税がかかりそうだ、となったとき、「生存給付金付きの保険に入ってみたら」と親に持ちかける子どもが増えている。

生命保険に入ること自体は、これまでも相続対策に有効だと言われてきた。というのは、生命保険の非課税枠(=500万円×法定相続人数)で相続財産を圧縮する効果がある上に、受け取る保険金は現金なので子どもの納税資金対策にもなるからだ。

それに加えて、生存給付金付きの生命保険にすれば、生前贈与をする際に利便性が高くなる。今回は、生前贈与機能付き保険に付いてクローズアップする。

生前贈与は増加も、「申告漏れ等の非違件数」が9割超

今は、ちょっとした生前贈与ブーム。発端は2015年の相続税の改正だ。相続税は増税、贈与税は一部緩和となったのを受けて、財産をたくさん残して相続税としてたくさん課税されるよりも、生前中に資産を移したほうが相続税の課税対象資産が少なくなるため、生前贈与(相続を視野に入れて行う贈与契約)に踏み切る家庭がジワリと増えている。

その影響もあるのか、国税庁の「相続税の調査の状況について」を見ると、直近3年で贈与税の税務調査を行った件数は、3612件→3722件→3809件と推移しており、前事業年度比102~103%のペースで増加中だ。



気になるのは、実地調査件数に対する「申告漏れ等の非違件数」が9割を超えている点。つまり、調査に入られたら、十中八九申告漏れと判断されたことになる。ちなみに、贈与が認められなかった場合に追加で支払う税金の平均額は、平成29事務年度では実地調査1件当たり148万円だった。

「そんなに見つかるもの?」と思うかもしれないが、国税庁は、積極的に資料情報を収集して、あらゆる機会を通じて財産移転の把握を行っており、贈与税の申告が無かった事案を中心に調査している。

なお、非違件数の内訳をみてみると「現金・預貯金等」が最も多く、全体の7割を占めている。



マイナンバーと預金口座をひも付ける「預貯金口座付番制度」も2018年1月から始まっており、将来的に義務化の方向性で進められている。そのため、これから“お金”での生前贈与を検討するのであれば、踏むべき手順を守ることが重要だ。
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文=竹下さくら

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